数字と漢字とアルファベットとが覚えられないけれど東大平均を一歩も二歩も上回る知識IQの俺は学校では偏差値38だが偏差値1の美少女、おっぱいが大きいのでデカメロンにほめちぎられる件について

坂西警護

第1話 数学とは一般解があるのか?

「うえーん、いつ!算数のテストでまたバツだらけだよー、算数の先生言いくるめてバツをなくしてー」 


 とんでもなくゲロマブな美少女でありながら、最高に形の整った大きな胸を持つ松蔭礼子しょういんれいこ(名字はもちろん名前も漢字で書けない)はこの俺斎藤乙さいとういつに泣きつく。


 また、零点を取ったのだ。


「やれやれショーがないな~」


 俺は論客ロジカリスト。哲学、経済学、精神分析を(勝手に)修めた(思っている)俺に論駁できない奴はそんなにいない!


「今回の論駁相手は?」


 俺はプロ中のプロの殺し屋が仕事内容を確認するように厳かに言う。


「ロンバク?何それ。そんなのいいから、何とかしてバツをなくしてー」


 礼子の頭脳レベルは正直言って青空学級のこのクラスにおいても群を抜いて最底辺。


 おっと青空学級はポリティカル・コレクトネス。所謂ポリコレに反するかな。


 俺はだね非論理的な物事が許せないが、まあ、それゆえに頭が固いのだろう。どうも意図せず差別的発言をすることがあるのだよ。


 こうやって自己を冷静に客観視することが知識を、蓄えるのに重要なのだよ。


「早速数学教師を成敗しに出かける!行くぞ礼子!」


 俺がそう息巻くと。


「早くぶっ殺しちゃってー、キャー🖤」


 礼子が黄色い悲鳴をあげる。


 「やい!数学教師その名前を佐島七海さじまななみ!我が高貴なる姫、松蔭礼子の数学のテストが零点である件について弁明せよ!」


 俺は礼子のバツしかないテストを見せつける。


「いやだって間違ってるし……というか白紙だし」 


 数学教師佐島七海は、正直サイズあってないんじゃね?なメガネを手で直しながら、困惑する。


「ふっ……ゲーデルの不完全性定理を知ってるかね?」


 俺は論理展開をする。


「いや数学基礎論は取ってないからよく知らないけどそう言う使い方するもんじゃないと思う……」


 七海はガクッとなったときにずり落ちたメガネを直す。


「やかましい!とにかくゲーデルの不完全性定理によって自然数論は不完全!そしてそれは証明できない」


 俺は勢いよく言い放つ。


「いや、でもテストの数式は証明可能だから……」


 七海は呆れ果てたようにメガネを直す。


「ふっ甘いな、甘すぎるぜチョコラテガール」


 俺の言に


「ちょ!何言うんですか!?先生をからかわないでください」


 七海は照れて慌てて隠すようにメガネを直す。

 

 俺は知っている。七海は実験物理学者の母親似憧れてリケジョになったは良いもののコミュニケーション能力に問題あって研究室におれず、大学で教鞭を取るも教え下手でこの学校に飛ばされ、毎日理学など理解のりの字もない動物園で死んだ目をしながら黒板に教科書を写す作業をこなしていたが、理系トークができる俺の到来により生活に彩りができて俺を気にしているという。純然たる事実を。


「証明とは何か?近代数学の父とも言われるヒルベルトの数理哲学的前提おいては特定の命題を推論記号に結合させた集合の真理関数の特定のである……」


 俺は溜める


「しかし果たしてそれは間違った哲学的前提にたった王権神授説であり特定の教義ドグマに何の根拠もなく強がりを言う神学に過ぎないのでないか?数学とはすなわち形式系の記号的操作に還元されない特異な命題郡であると言うわけだ」


「いやこの分数の計算はそう言う次元ではないと、思うけれど……」


 七海のメガネ直しに惑わされるな!


 俺はとにかく捲し立てる!


「とにかく数学的命題とは真実の世界における特定のアプローチの仕方でありその公理郡は特定の形式系の記号的操作の凡例としてでなく自明の命題として与えられている、そしてそれを知るのは直感である」 


 とにかく白紙の数学のテストのバツを消すのだ、この無理難題には休憩は許されない。


「では直感とは。なにかまるであたかもこの世界における基準を純粋客観的に定めた神と称されるに相応しいある種の存在カテゴリー否、アリストテレス的言えばカテゴリーを越えた存在からの純粋なる啓示なのか否それは間違ったデカルト的形而上学的前提である」


 何言ってるのか分かんなくなってきた、が気にしない!


「それはつまり経済イデオロギーと幼児体験である。それは生産体系と家庭環境によって決定される、すなわちマルクスとフロイトを基礎に持つ新しい数学……まさにとしての哲学を基礎づけるに相応しい超越論的経験論的基礎論的数理形而上学の幕開けである!」


 とにかく訳も分からず難しい言葉を並べる(無論、学のある人間ならばなんとなく理解できる程度に筋は通っている)。そして勢いというよくわらないもので、押しきる!(本当は純粋論理で論駁可能だが)こっちのほうが手っ取り早い。


 とにかく勢いで押しきる!


「バツじゃなければいいんだよねー、ほらそのにマルが」


 七海は点数欄を指咲く。その指にはチョークの粉が染み付いている。


「確かにそうね!ありがとう!先生!」


 礼子はそう言うでお礼を言った。


 俺の苦労は一体……?たが礼子には逆らえないのだ。贈り物は奴隷を作るってね。

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