介護職員さん退職してお嬢様を介護する
果実Mk-2
介護職員さん再就職する
介護職ってのは基本的に楽じゃない、むしろきつい事しかない、
老人の裸に便やら尿それにオムツも変えなきゃならん、ベットに寝たキリなら楽なほうだ、変にまともだと動き回るし家に帰せなんて怒鳴る、もっと自分の立場を理解して欲しいもんだ。
そんな場所に五年務めたが疲れたよ......
「これまでお世話になりました」
本当なら社長に辞表を叩きつけてやりたかったが俺も23だ少しは弁えてる。
「
さて、これで俺はニートだ少し語ったって許されるだろう。
1年目は楽だったデイサービスの利用者が1日30人いれば多い方だったスタッフ同士も和気あいあいとしてた、コーヒーを飲んだりタバコを吸いに行く人だっていた、言ってしまえば余裕があった、2年目になるとさらに余裕があった仕事に慣れてきて自生活にも余裕ができた。
問題は3年目からだ隣に新しい施設ができた、そこが問題だらけだった、
広くなったから入居者が増えるのは分かるが、ひと月で10人は多すぎる、なんでも半年以内に満床にしなけりゃいけなかったらしい、スタッフの事を考えればもっと長く見てもよかっただろうに。
コーヒーを作って飲む時間もなけりゃタバコを吸いに行く時間もない、だんだんとスタッフ同士での空気も悪くなり耐えられずに何人も辞めた。
最後の方まで残った俺は貧乏くじを引き精神が病んで辞めた。
「これからどうっすかなぁ」
貯蓄は少しだがある、生活保護を受けてもいいな、今は考えるのも億劫だ。
「ただいまって言っても誰もいないか......」
溜まっていたポストの中身を整理していると目を引く求人を見つけた
「ん?介護経験ありで住み込み?月収30万?その他能力により昇給」
「介護経験ありって事は介護関係だよな?内容が生活の補助?なんじゃそりゃ」
魅力的なのは給料だけか、住み込みなら家賃もいらないし飯もある程度はもらえるよな?こういうのってどうなんだ、もしかしたら裏組織とかありえそうだし、見なかった事にすっか、もし半年後も来てたら話だけでも聞いてみるか。
半年後
「もうすぐ貯金もなくなっちまうな」
後5万5千はっきり言えば家賃だけで精一杯だ食費電気ガス水道は払えない、アレにたよるか?親に頼るって年齢でもない、バイトも今からやっても払えないよな、どうっすかなぁ。
「頼るか?あの求人?あやしいんだよな」
よし、電話してやる、求人が本当なら助かるが
「頼む、本物であってくれ!!」
静かな部屋に無機質なコールの音がする二回三回と数を重ねていくごとに冷や汗が流れる。
『はい、もしもし』
男の声だ少し年配だろう、嗄れた声の中に上品さを感じる、きっとそこそこ裕福なのだろう
「あ、求人を見て電話をしたのですが」
『あぁ、そうですか、そろそろ求人を出すのを止めようとした所です運が良いですね、それでお名前は?』
「大崎雄一です」
『それで、いつから来れそうですか?』
「来週いや、明日からでも」
『では、今から言う住所に来てください面接を行うので』
「は、はい」
それから、向かう住所をメモし書いていた履歴書などを持ち言われた住所に向かった
「デッカ」
向かった住所はここらで有名な家だった、
と言うことは粗方ご当主様がボケだしたから内密に介護士を雇いたかったのだろう、ならあの給料にも納得がいくものだ。
「さて、失礼しますよっと」
インターフォンを気合よくならすとでかい門扉がひとりでに開いた事に少しの感動を覚えた、実在するのかと、まるで空飛ぶ城を見つけた少年の様に
「入っていいのか?いや開いたんだし入っていいのか」
そうして中に入っていくとこれまた扉が開き六十代に見える男性がいた
「お待ちしておりました、大崎様」
この声に覚えがある、電話の人物だ
「初めまして?大崎雄一と申します」
「それでは中にお入りください」
その後男性の後に着いてゆくと応接間と思わしき部屋に連れてこられた
「こちらに掛けてお待ちください」
高そうなソファだ、それに紅茶にお茶菓子までついている、これが金持ちのおもてなしってものか
そうして五分程経っただろうか、三回のノックの後女性の声で失礼いたしますと声をかけられた、ここで失礼のないように席から立っておくのがいいらしい。
「初めまして、このような格好で申し訳ありませんが生まれつきなので」
そこに現れたのは、車椅子の少女だった
「
その少女は雪という名前に相応しく汚れを知らない白い肌、長く枝毛などない黒髪、この少女なのだろうか?いいや違うだろどう見てもこの後に誰かくるだろ。
「さて、求人の件ですよね?」
「は、はい」
「試用期間として一か月、その期間は給与は半分です住み込みですからあまり関係ないです」
「えっと」
「何か?」
「介護が必要な方って......」
「それは私です」
「もしかしてご冗談?」
「冗談ではありませんよ?」
え?マジ?いや、ダメだろこんな二十歳もいかない美少女の介護すんの?
「それではこちらの契約書にサインを」
「つまり、採用......?」
「はい、そうです」
「えっと、聞きますけど大丈夫ですか?」
「何がですか?」
「その、自分男ですよ?」
「そうですね、それを加味しても男性というのはありがたいものです」
「採用なのはこちらとしてもありがたいですが」
「ですが?」
「自分はご老人の介護と思い来たのですが」
「残念ながらうら若き美少女ですね」
自分で美少女なんて言うにはかなりの自信が必要だろうが、反論もできない程の美少女なのは認めよう
「この通り車椅子での生活は少々不便なことも多く一人でトイレなどもできません、そこで介護士の方は裸など見慣れているでしょうし、求人を出しました」
「確かにご老人の裸は見慣れていますが」
「安心してください、そこまではさせませんので」
「そうですよね」
「では、サインをおねがいします」
考えればこれは大きなチャンスだ、介護が必要なのはコミュニケーションの取れる人で介助はほとんど必要ないだろう、それで月三十万は多い方だ。
「分かりました、黙読させていただきます」
「どうぞ」
受けとった契約書に目を通すが、いたって普通の労働契約書だ、俺はそれにサインし返した。
「それではこれからよろしくお願いしますね大崎さん」
「こちらこそよろしくお願いします」
と言った瞬間に俺の意識は刈り取られた
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