第4話 初心者殺しのゴブリン戦


 俺は地獄カラスを2羽とも撃退した。

 


「ふぅ……。何度もブーメランを投げていると命中精度が上がるんだな」


『凄いぞ主! もう我を使いこなしている!!』


 スキルを覚えてから随分と戦闘が楽になった。


「なぁヴァンスレイブ。お前のスキルはまだ覚えるのか?」


『スキルはレベルが上がれば覚えるぞ』


「おお! んじゃあモンスターをドンドン倒せばいいんだな!」


『そういうことだ』


 てことで、トーナリ山までの道中、出くわすモンスターは全て撃退した。




グサァッ!!



 倒したのはスライム。


「どうだヴァンスレイブ、レベルは上がったか?」


『もう少しだ主』


 レベル3までは結構長いんだな。


 見上げるとトーナリ山がそびえ立つ。


「レベルが上がる前に着いちまいそうだ」


 その平原には薬草が生えている。

 しかし、立ち塞がったのは3体のゴブリンだった。


『ギギ!』


 これがギルドで噂のゴブリンか……。こんなに間近で見るのは初めてだ。

 肌は緑色、とがった耳と鋭い目鼻。大きな口からは無数の牙が生えていた。


 まぁ、背丈は俺と変わんないからな。そんな怖いイメージはないか。ギルドの奴らはゴブリンに殺されるとかなんとか言ってたけどな。


「先手必勝だぜ! 行けヴァンスレイブ!」


 俺はブーメランを投げた。



コンッ!



 ゴブリンは大きな棒でブーメランを弾く。


「こいつら武器を使うのか」


 武器と言っても、その辺で拾ったような太い丸太である。


 とはいえ、武器に違いはない。ブーメランを狙って弾くのは厄介だ。


 1匹のゴブリンがその丸太で俺に攻撃する。


ドンッ!


 おっと危ねぇ!

 でも、大した速さじゃないんだよな。


ドン!

ドン!


 2匹目、3匹目と攻撃が食わわる。


連携攻撃か!


「うわわッと!!」


 俺は地面に倒れ、ゴロゴロと転がりながらもなんとか交わした。

 地面には大きな穴が空いている。


 あんな丸太でも頭に喰らえば頭蓋骨破壊だ……。脚に喰らえば骨が折れて動けなくなるだろう。そうなれば終わりだな。


 ブーメランを弾いたり、連携攻撃まで仕掛けてくる。明らかに今までのモンスターより知能が高いぞ。


 ギルドの奴らが心配してたのもあながち嘘では無さそうだな。


 でも、俺にはコイツがいるんだ!


「行け! ヴァンスレイブ!」


『承知した主!!』

 

 俺はブーメランを何度も投げた。

 しかし、その全てを弾かれる。


戻るリターン!」


 その度にスキルで戻した。


「あいつら目が良いな」


『うむ。少々強すぎる気がするぞ主。我のレベルが上がるまでは撤退も視野に入れるべきだ』


「なんだよ弱気だなぁ。俺のことが信用できないのか?」


『いや、しかし……。相手は3匹。こちらは主1人ではないか。多勢に無勢というやつだ』


「おいおい。自分を過小評価すんなっての」


『どう言う意味だ主よ?』


「俺達は2人だ」


『主……』


 俺は大きく胸を張った。





「俺とお前で、ゴブリン3匹をぶっ倒すんだよ!!」




『うぉお!! たぎって来たぞ主ぃい!!』


 

 ゴブリンは知能が高くて目も良い……。

 真正面からのブーメランは丸太で弾かれる……。


「だったら!」


 俺は大きく振りかぶってブーメランを投げた。



ヴォオンッ!



「行っけぇえッ!! フルスイングのブーメランだぁああッ!! 猛スピードなら防げねぇだろがぁあ!!」



 勢いがついたブーメランはゴブリンの頭をかすめるように飛んで行った。もう、丸太で弾かなくても当たらないほどである。


「しまった! 外したぁああーーーーーー!!」


 ゴブリン達は、武器が無くなった俺を一斉に襲う。


『『『 ギギ!! 』』』


「終わったぁああああああ!!」


 ほくそ笑むゴブリン達。

 俺は頭を抱えた。


「ああ〜〜!!」


 ゴブリンはその隙に飛びかかってきた。


「なーーんてな。すーーぐ引っかかる。あんまり知能は高くないかもな!」


『『『 ギ?? 』』』


戻るリターン!!」


 ブーメランは戻り、俺に向かっていたゴブリン1体の背を刺した。



『グァッ!!』



「後ろからの攻撃は弾けないだろ?」



 1体のゴブリンが地に伏した。



「よっしゃ! 1体撃破ぁ!! 残り2体だぁッ!!」


『流石だ主!! 今のゴブリンでレベルが3に上がったぞ!!」


「マジか! やった!!」


『スキル、【 双刃ダブルブーメラン】を取得した!』


 よぉおし、早速使ってみよう!!


 俺はゴブリンに向かってブーメランを投げた。

 2体のゴブリンが丸太で弾こうとした瞬間。


 叫ぶ。




双刃ダブルブーメラン!!」




パシュンッ!!




 と鋭い音とともにブーメランは2つに分裂。棒の攻撃は空を斬る。

 ブーメランは軌道を変えてゴブリン達に突き刺さった。



『『 ギャワァッ!! 』』


 

 2体はバタリと地面に倒れた。

 もう起き上がる気配はない。



「よっしゃぁッ!!」



  戻るリターンをかけると、2つに分裂していたブーメランは1つになって戻ってきた。



「2つに分裂するスキルなんて、結構使えるじゃんかよ!!」


『いや、主が凄すぎるのだ。スキルの応用と行動力。守護武器の我さえも驚きを隠せぬ』


「ははは。大したことないよ。それよりさ、もうこの辺から薬草がたんまり生えてるぜ。採り放題だな」


 

 俺達は薬草をリュックに詰め込んでギルドへと帰った。



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現在の状況【読み飛ばしてもストーリーに影響はありません】


名前:マワル・ヤイバーン。


冒険者等級:F級。


守護武器:ブーメラン。


武器名:ヴァンスレイブ。


レベル:3。NEW


取得スキル:

戻るリターン

双刃ダブルブーメラン。NEW


アイテム:薬草。NEW


所持金:0エーン。

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