金! 暴力! セッ○ス! 全て【筋肉】が解決だ!!

半濁天゜

第1話

 高校1年の夏、目覚めたらオレは筋肉男になっていた。

 なんて思考も脳筋がピクピク震えてしたものだ。いや、何をしなくても全ての筋肉が熱く痙攣している。


「そうか、人は筋肉で考えるものなんだ!」


 見ると、パジャマだった布切れが体にまとわりついている。オレの筋肉に耐えられなかったか。これじゃ学制服も着られない。なら、


「うおおおおおぉぉぉ!!!」


 窓を突き破った破壊音と共に、直下の武田信玄像に飛び蹴りをかます。オレの両足が胸部を貫き、股間が像にめり込んだところで、


「ふんっ!!!」


腰を捻り像の上半身をもぎ取った。オレの股間から信玄の胸像が生えるベストポジションだ。身だしなみOKッ、


「いざ学校へっ!」


 腹筋火山! 足早に自動車を追い越していると、警官に遭遇してしまった。


「こら君、待ちなさい!」

「マッスル?(なんですか?)」


オレは善良な学生だ。


「せっかくの筋肉が像で隠れてるぞ。ブーメランパンツ違反だよ」

「ビルドアップ!(オレの筋肉に下着が耐えられないんだ!)」


ボディビル大会のごとく自慢の筋肉を見せつける。


「そうか見事な筋肉だね、マッスル無罪だ」

「デッドリフト(ありがとう、もう少しで殺すところだったよ)」


 顔面筋に鬼を刻んで、にこやかに警官と別れる。


 そんなロスにもめげず急いだのに、学校の門は閉まっていた。だが筋肉アイで、校舎に囚われた美少女と目と目がスクラム。


「ドッキンッ! ずっと前から筋トレでした!」

「ガールズ・ビー・アマゾネス!(筋肉つけて出直しな)」

「らめえええぇぇフォーリン・タフでしゅううううぅぅぅ!!」


 美少女は貧弱なペチャ筋だが、筋肉会話ができるとは暫定女傑ヒロインにしてやろう。と、オレの三角筋が震えた時に、みすぼらしいガリ勉が校舎の前に飛びだした。


「そこまでだスジ肉ダルマ! お前はこのジーニアス上杉が倒すっ! 食らえ東大赤本っ!」

「アイ・アム・チャンピオン!!!(全国模試1位!!!)」

「ぐわああああああああああああああ!!!」


 全国1位のポージング、ガリ勉は堪らず吹き飛んだ。


「前頭葉スクワットをしろ、赤本など頭のトレーニングにもならんぞ。やはり人類には筋肉が必要だっ!」

「しゅごいぃぃぃぃぃぃユー・タフ・ベリー・マッチョ」


 汗ばむ瞳で頬を赤らめる、だらしない美少女め。イチから鍛え直してやる、と大胸筋がステップしたところで、職員室がC4爆薬100kgで吹き飛んだ。


 いや、中毒者ジャンキーがうっかりプロテインをブチまけて筋肉に引火したんだ。みんなお馴染み粉塵爆発、オレの腕立て10回分のエネルギー。


 揺れる炎に照る筋肉。これでしばらくテストはない。晴れやかな筋肉日和びよりだっ!

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