死の一間

 死にたいと思ったことがあるだろうか。

 後悔、絶望、苦しさ、辛さ、惨めさ、憎さ、きっと理由は数多ある。

 ふとした恥ずかしさから

 抱えきれない悲しみから

 ほんの一瞬の空っぽから

 死は現れたり消えたり。


 日常でも激情でも、どこかに潜んでいる。

 度重なる生と死の交錯の中、死ぬ人がいる。


 いったい何時、死にたいという意識が現実の行動へと変化するのだろうか。


 おもうに、死にたいという状況から変わろうとするとき、人は死ねる状態になる。

 気を取り直して頑張ろうとするとき

 死が更に迫り引きずり込まれたとき

 地に足がつかないような曖昧なとき

 

 死にたいという自分とそこから一歩離れた自分。

 その変化の途中に人は死ねるのだろう。

 理性も衝動もあって、自分以外の全てがある混沌の一間。

 圧し潰されて、見失って、されど楽になることのできる。

 そんな一間に人は死に至る。


 果たして、その一間において罪はいかほどか。

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