ホワイト

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 ある国に、聖女がいた。


 その人物は、人と人は分かり合えると、そう信じて疑わない聖女だった。


 彼女は純粋だった。


 だから、聖女になれたのかもしれない。


 しかし、それが皮肉な結果を生むことになる。


 二つの争い合う種族を仲裁するために、聖女はとある場所に赴いた。


 争いをやめるよう、説得するためだ。


 しかし、聖女の言葉は聞き入れられない。


 やがて、聖女は争いにまきこまれて、命を落とした。


 しかし、生前の行いが評価されて、女神となった。


 そのかつて聖女だった女神は、死してなお、二つの種族に言葉をつくして、争いをやめさせようと手をつくした。


 人と人は分かり合えると、信じて。


 しかし、二つの種族は互いを滅ぼすまで戦いをやめなかった。


 聖女は分からなかった。


 どうして、分かり合えるはずの者達が、そこまで至らなかったのか。


 二つの種族は、相手の力を奪う事でしか生きられない。


 二つの種族は、互いの言葉を理解する事ができない。


 けれど、それでも、聖女は分かり合えると信じていたからだ。


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ホワイト 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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