第15話 金色の瞳とは



 沸騰した大きな釜の湯を前にして、二人の男女は、お互いの目を見つめ合い、静かに頷くと、視線を釜の湯に戻した。そして、互いに片手を目に当てると、躊躇いもなく指先を目の中に入れ、その金色に輝く瞳をえぐり出し、釜の中へ投げ入れた。

 

 すると、湯気は輝き出し、真っ直ぐに天空へと向かった。一直線に空に向かう光は、壁の中にいる白い瞳の兵士達を更に振るい上がらせた。


 静かに真っ直ぐに伸びた光が消えていくと、何事も無かったように釜の中の湯は透き通った水に変わっていた。既に片目だけになった金色の瞳を持つ少女が、肩を矢が貫いたであろう兵士に、その傷口に釜の水を注ぐとみるみるうちに傷口は塞がり、元の逞しい肩に戻っていった。そして金色の瞳を持つ少女は言う、

「私達は、この水で赤い花の花粉から身を守ってきた。この水はあらゆる傷と病を癒す。さぁ、動ける者はこの水をすくいその傷に塗りなさい。動けぬ者には私がそこまで行き、この水を注ごう」

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