第12話 最後の儀式



 それは最後の儀式と呼ばれていた。二度と帰る事を許されない者達を送る儀式である。命の木の下に置かれた小さな焚火の上に、村人一人一人が一本づつ薪を足していく。ゆらめく焚火の炎の向こうには選ばれた若者二人が目隠しをされて静かに瞑想している。最後の薪一本が継ぎ足されると、緑の瞳の民達は、静かに其処から去って行く。夜明けまでは、誰も近づいてはいけない。


 誰も居なくなった命の木の下で、継ぎ足された薪がどんどん燃え上がり、やがて炎は消えて、炭が赤く燻り出した頃、命の木が、静かに、黄金色に光り出した。

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