(実話)宝くじ1等当たって全てを失いました

@jjjppp

宝くじ購入

入社してから3か月が経過し、社会人にも徐々に慣れてきた頃、同僚のタケシに誘われ、飲みに行くことになった。


私達は関西に数店舗あるスーパーの社員で、月収は17万。

彼は高卒だから、多少給料は低かっただろう。


繁華街の飲み放題2時間1500円の看板にお互い賛同し、店を決めた。


タケシはいかにも地方出身といった、人が良い素朴な男だった。

初めて地元を出て、家族・友人と離れ一人暮らしで寂しかったのだろう。


彼は席に着くと、仕事の愚痴・タイプの女の話などを一方的に話し、私は終始聞き役だった。



帰りにタケシは少し寄りたい場所があると言い、昔ながらの小さな宝くじ売り場へ導いた。

「ちょっと宝くじ買ってきます!」と少し照れくさそうに言い、売り場のおばちゃんに話しかけた。

その雰囲気から察するに、彼は定期的に買いに来ているようだった。


私は少し離れた場所から眺めていると、

「たくやさんは宝くじ買ったりしますか?」と尋ねたが、私は少し戸惑った。



タケシはその空気をかき消すように、

「今日は色々話を聞いてもらったんで俺おごりますよ!ビギナーズラックって知ってます?」

そう言い、おばちゃんにもう10枚催促した。

「もし当たったら半分くださいね!なんちゃって。」



10枚3000円×2セット


タケシはさっきまで飲んでいた居酒屋の倍以上を気まぐれで出費した。



学歴も家柄も無い安月給で働く人間が、人生逆転の夢を見るなら宝くじぐらいしかないのかもしれない。


宝くじはパチンコや競馬のように『ギャンブル』というイメージは強くないが、そこへ投資する精神はどちらもそう違わないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る