第32話 電気をつけた人

高齢者の方専用の住宅を、勤務していた法人で立ち上げることになり

看護師として私が異動となった


開設準備として、その施設で書類を揃えたり物品を揃えたり

帰りは、最後に帰る人が3階建ての建物すべてを見回って

電気消灯と鍵がかかっているかの確認をすることになった

まだ、入居していなくても一応確認するという事に


ある日、私が最後だった

その時によって、3階から見て回るか1階から見て回るか気分で決めていた

その日は1階から順に回った。エレベーターは使用せず階段で


1階、2階共に消灯している、鍵もかかっている

3階の奥の部屋から確認して廊下を歩いた


階段へ向かって歩くと、突き当り真正面に額に入った絵が飾ってある

その額に パッ と電気がついたのが映って見えた

後ろを振り向くと、消灯を確認したはずの部屋の電気がついていた


電気の付いた部屋へ戻って、電気を消した


別に怖いとか、変な感じもなかった


「また明日来ます。それまで、この建物守っててくださいね。」そう心で伝えた


この施設の隣には、震災時津波で流された方が一時的に収容された体育館がある

なんとなく、その中のだれかが守っていてくれていると思っていた

今もそう思っている


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