第5話 ゆうちゃん0歳

「ゆうちゃん」

声をかけると、手足をバタバタとして喜んでくれる


0歳のゆうちゃんは、私の担当

とってもかわいい男の子

目が見えないから、私の足音で気づいて喜んでくれる

笑顔がかわいい とにかくかわいい子

勤務終了後は、しばらく抱っこして過ごした

ずっと笑顔のゆうちゃんは、私の疲れをふっとばしてくれた


ゆうちゃんは、生まれて間もなく虐待を受けた

泣いたゆうちゃんを若いお父さんは床にたたきつけた

泣きやまないからって何度も そのうち泣く力がなくなった

病院に搬送されたときには、助からないと

でも、ゆうちゃんは生きた

最初は、機械の力を借りて あとは、自力で呼吸をした


ゆうちゃんの生命力はすごいものだった

看護師として、自信をなくしていた私に自信をつけてくれた

自分の命だけではなく、関わる周りの人へ力をくれた


キズがついてしまった脳は、ゆうちゃんが10歳を迎えるまでの力はなかった


ゆうちゃんの笑顔と私の笑顔の写真

いい写真とれたよね、ゆうちゃん




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る