第46話 教員彩々(タバコ教員) 1

 それでは懲りずに再び過去の話へ進んで行こうと思う。


 学生時代といえば、子供同士の話と同じ・・・いや、むしろそれ以上に話題に事欠かないのが教員の話なんだけど。


 私が子供の頃の先生たちときたら、とにかく個性がやたらと際立っていて、チョークも黒板消しも、ゲンコツやビンタだって惜しげなく飛ばしてくれる、非常に情熱にあふれた方ばかりだった。


 頻繁に家の様子を見に来てくれた先生。


 しょっちゅう変質者に遭遇する私を気遣って、人気ひとけが少ないと必ず車で送ってくれた先生。


 どう考えても当時の私には向いていなかった学級長や児童会長、はたまた女子禁制だった応援団なんて役にどんどん挑戦させてくれた先生。


 暴れん坊でどうしようもなかった私を強く抱きしめて、落ち着くまでずっと一緒にいてくれた先生。


 そんな尊敬すべき先生方がたくさんいるなかで、やはりとんでもない教員も一定数ちゃっかり生息していた。


 こんな人たちの話を全て上げ連ねてしまうと、それだけで何年も続く超大作になってしまうから、代表的な出来事をいくつか。


 たとえば、高校生の時の体育の教員はかなり健康に悪い男だった。


『体育教官休憩室』の掃除を我々生徒にやらせるんだけど、清掃の間中タバコをずっと吸い続けているし、窓を開けて換気なんかすると怒鳴りつけてくるんだ。

 もちろん、季節問わずにね。


 喘息もちの私が掃除の度に苦しんで咳込んでいることに気づいた、小谷先生という、非常に子供思いのたこ焼き頭の親父先生が「せめて換気はしませんか」と言ってくれたんだけど、タバコ教員はその言葉に激怒するとドアを蹴り飛ばして出て行ってしまったんだ。


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