第45話 三度目の正直ならぬ三度目のまさか 2
暫く押し黙ったままだった娘だったけど、今度は顔色を白く変えて色々と問いかけてきた。
テストの珍解答を連発するオモシロ娘のくせに、こんな時は凄まじくしっかりしているから不思議だ。
私は医師から聞いた内容を丸ごと彼女に伝えた。
伝えてもらえない無念さを噛みしめるほど、みじめなことはないからね。
それに、私は普段ちゃらんぽらん過ぎる我が子供たちが、本当にちゃらんぽらんな者だとは思っていない。
現代っ子の娘ときたら、話を聞いた途端、すっかり使い慣れているスマホをちょちょっと操作して、すぐに情報を引っこ抜いてきた。
それによると、どうやら医師の言葉通り、今の私の状態はなかなかどうして厄介で面倒なものらしい。
簡単に言えば、真打登場!
吸引から20年の時を越え虎視眈々と発病の機会を狙っているアスベストちゃんや、5年以内に止まってやろうとモジモジと試行錯誤している心臓さんを超える強者が、ここにきてドドンと参戦してきたってわけだ。
とは言っても、残念なことに私が何かをしてどうにかできるというものではないからね。
神妙に治療を受け、再発しないことを祈るしかない。
数日後。
いくつもの大切な言葉をお守りに手術台にあがった私は、頼りない心臓さんが怠けて止まってしまうようなこともなく、無事帰宅することができた。
のど元過ぎればなんとやらで、今でこそこんな風に話せるようになったけれど。
実は手術後、ちゃんと布団から起き上がっていられるようになるまで、情けないことに1カ月ほどかかってしまったんだ。
正直言うと、未だに言葉は前と比べるとスラスラ出てこなくなってるしね。
とはいっても、今は週2回の血液検査で再発の兆候を見張ってもらってる・・・なんていう清々しい状態なんだから、運の悪さに定評がある私としては、これは堂々と胸を張って「順風満帆だ」と言えるよね。
そして、これだけは・・・・・・。
読んでくれている一人一人に。
心から正直に伝えたい。
「支えてくれて、本当にありがとう」
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