第16話 鋭利な刃物

真は、たいして休みにならない日曜日を終え


月曜日から、千葉総合病院の現場へ出勤した。


朝 朝礼前 矢島建設 石崎所長の所へ顔を出し


先週のお詫びを重ねてした。


真は、フリーの、電気の施工管理者だった。


内容は、図面をCADで書いたり、品質管理であったり、材料発注であったり


さまざまであった。


朝、朝礼後 電気の事務所で、変更の図面を書いて


いると、2階の職長 宮島さんから電話があった。


「小杉ちゃん 2階の職員用のミニキッチンあんだろ、棚下灯がつかねえんだよ、ちょっと見に来てくれ」


と依頼があった。


小杉は、ヘルメットと安全帯を身につけ


テスターを持って2階へ行った


宮島さんは、「おっかしいんだよ、器具の不良かと思って別のに変えてもつかないんだよ」


小杉は、ジョイント部〝電線を繋いでいる場所〟や

スイッチを調べたが、確かに電圧はきている。


あとは、器具だが、念のため別の場所で接続し、


つけたら、問題なく点灯した。


棚下灯に繋がる電線を調べると電圧がきていない。


小杉は、宮島に、「宮島さん、多分キッチンの棚を付けたときの、〝ビス〟で電線がやられてるんだよ

建築に言って 棚 外してもらうよ」


小杉は、建築に事情を説明し、棚を外し 壁も解体してもらった。


中から出てきた電線を見て 宮島と小杉は


「なんじゃこりゃ⁉︎」


と顔を見合わせた。


中から出てきた電線〝VVFケーブル〟は、


スパッと斜めに切断されている。


宮島は、「キッチン屋のヤロウ!」とすぐに


キッチン屋をうたがったが、


小杉は、電線の切り口をみて、


〝違う!カッターや、電工ナイフでもこうはきれない まるで刀のような 鋭利な刃物で切った切り口だ ましてや壁を作る段階で切れていたら気づく 〟


小杉は、〝彼ら〟の仕業に思えてきた。


宮島に修復を依頼し事務所に戻る途中


〝タイヘン タイヘン ゴクロウサマ〟


と邪悪な念がとんできた。


小杉は、〝大きな塊〟を振り返り


「ここまでやるか?」と不安な雲行きを切々と感じていた。


カラスが10羽ほど、〝大きな塊〟の周りを旋回していた。


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