第15話 お寺
真は、墓碑の 吉田茂夫 という名前を見つけ
度々くる 〝ヨシダ シゲヲ〟と同一人物か
疑問がわいてきた。
たいてい〝彼ら〟は本名など名乗らない
それは、経験則でわたかったことだが
今回、厄介な事 邪悪な強い力のヒントに
なるのではないかと、考えた。
墓地内に、墓掃除を終えて、帰ろうとしている
ご老人の男性がいたので、
この墓地のお寺を聞いた。
500メーター程坂を上った所にある〝長光寺〟だという
何かわかるかわからないが、真はいってみようと
思った。
長光寺に着くと本堂の横に、築50年くらいの
古い住居があった。
夕方5時をまわっていたが インターホンを押してみた。
すると50代くらいの女性が出てきた。
吉田さんのお墓の事を聞きたい旨をつたえると
住職は、不在で住職の奥様ならいらしゃるとのこと
聞いてきてくれると言われて奥へいった。
70代くらいの女性が出てきて、
「吉田さんって あの吉田さんかね〜
あの人は、そりゃ昔は人望の厚い方でね
もともと地主さんでね、お金も持ってたから
沢山の人が、列なしで訪れててね、
だけどね、アンタ 奥さんが男作って
財産持って逃げちゃったんだよ
それからはね、金貸しみたいになっちゃってね
悪い人と付き合うようになって晩年は可哀想だったね〜子供もどこいったんだか?お墓は荒れちゃってたろ?」
そういうと、さっきの50代の女性から
「お母さん、そのへんで」
と制され、
「あらやだ、あたしゃ お喋りだからね
ごめんね」
と言って、玄関をしめてしまった。
真は、腑におちなかった。
もともと 〝彼ら〟の情報を得ようというのが
間違いで、基本的に、厄災がこなければ
いい話だが、
今回は、厄災が度を過ぎている。
車に戻り 辞めていた タバコ
セブンスターに火を付け、
深く吸い 煙を鯨のように吹いた。
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