おねーさんサキュバスに気に入られて、幼なじみとの距離がどんどんはなれてしまいピンチです!

かなたろー

第1話 とりっくおあとりーと?

 やった! やったやったやったやった!!

 成功した、俺は告白に成功したぞー!!!


 神有かみありツキト! 十七歳! 今日から彼女アリ!! やったーーー!!


 俺には幼なじみがいる。家のまえの公園の向かいの家にすんでいる卯月うずきカノ。

 俺は思いきって告白した。ついさっき告白した。


「俺たち、つきあっちゃわない??」


 って告白した。そしたら、


「……うん」


 だって! オッケーだってさ!


 俺の両親は今、海外にいる。高二の俺は色々転向の手続きがめんどうだから、日本に居残っている。きままな一人暮らしだ。


 俺の親、というか母親はなかなかの過保護だ。そしていろいろと根回しがきく。

 だから幼馴染のカノの家に、色々とたのんでくれたんだ。育ちだかりだから、晩ゴハンを食べさせてくれって。


 俺は本当にラッキーだ。おかげで毎日カノの手料理を毎日食べることができる。

 お母さんを早くに亡くしたカノは、料理が上手だ。そんな料理を毎日食べれて、そして俺とカノの中は急速にせっきんしていった。


 そして、ついに告白に成功した!

 公園のブランコをこぎながら告白に成功した!!


 やった! やったやったやったやった!!

 俺は何て幸せものなんだ! なんて幸せものなんだ!!


 ピンポーン!


 だれだろう? もう九時まわっているぞ!?

 ん? まさか、カノ!?

 いきなり大イベントが起こっちゃう!? いきなり人生の一大イベントが起こっちゃう? お泊まりイベントぼっぱつしちゃう!???


「はーい!」


 俺はかろやかなあしどりで玄関を開けた。


すると、


「はっぴーはろうぃーーーーん!」


 しらない女の人がいた。だれ? このおねーさん。


 あ、そっか、そういや今日はハロウィンだ。

 見てみれば、おねーさんは確かにハロウィンな格好をしている。小悪魔でお色気ムンムンなコスプレをしている。 


「とりっくおあとりーと?」


 おねーさんはニコニコしながら聞いてきた。


「あ、はい、じゃ、とりーとで」


 たしか、まだ残ってたよな。カントリー○ーム。


 俺は、いそいそとキッチンに向かうと、おねーさんもいっしょにキッチンに入ってきた。なんで?


「いえす! とりーと!! とりーとめんと!!」


 小悪魔のコスプレをしたおねーさんは、ほっぺにいきなりキスをしてきた。なんで? そしてあぶなかった!!

 あやうくファーストキスをうばわれるところだった。

 ファーストキスは、カノとするって決めてるんだ。なんだかよくわからないおねーさんに俺のはじめてをうばわれてなるものか!! 美人だけど。


「おっけー! とりーとめんと!! えんちゃんと!!」


 おねーさんは、よくわかんないことをとなえて、指をパチンとならした。すると、あたりが一面オレンジ色になった。え? なにこれ??


 いや、オレンジ色になったのは俺だ。鏡にうつった俺がめっちゃオレンジ色のオーラを放っている。髪の毛もかさだってオレンジ色になっている。なにこれ??


「しーゆー!」


 おねーさんは手をふりながら、ついでに悪魔みたいなシッポもふりふりしながら、フッっと消えてしまった。え? なにこれ??


 そして、鏡を見ると、俺はもとのすがたにもどっていた。


 うん。これは夢だ。きっと夢だ。カノに告白してOKをもらって、いろいろとうかれすぎたのだ。きっと俺のウカレたモーソーが、お姉さんをうみだしたのだ。


「風呂にはいって寝よう」


 俺はとっとと寝ることにした。



 朝、俺はいつもより二十分も早く起きた。カノを迎えにいくためだ。

 一緒に学校に行くんだ。ひゃっほーーーーい!


 俺は、かるーいあしどりで公園をつっきってカノの家の前にいった。そしたら……。


 ちゅ。


 俺は、女の子とぶつかった。くちびるとくちびるがぶつかった。は?

 あいては、学園一の美少女、学園のマドンナ、酉下とりしたミナミ先輩だった。ええええ!!!


 なんてこった! 俺のファーストキスが……大事な大事なファーストキスが……学園イチの美少女に奪われてしまった。あ、でも事故か! 事故だよね? ノーカウントだよね???


 でも、ミナミ先輩はホホをあからめている。めっちゃ嬉しがっている?

 え? なんで!!??


 そして俺はその現場をもっとも見られたくない人物に見られていた。俺のおささなじみで、彼女の……


「きのうの話は聞かなかったってことで!!!」

「え? ちょっとまって……カノ? カノちゃん? カノ様???」

「知らない!!」


 カノは走り去ってしまった。


「いえす! とりーとめんと!!」


 は??


 俺はふりむいた。そこには、きのうユメで出会った、小悪魔コスプレのお姉さんがいた。

 そしてそのすぐうしろに、ミナミ先輩がたっている。

 え? ミナミ先輩、このおねーさんが見えてないの?


「ツキトくん、いっしょに学校いこ?」


 ミナミ先輩は、俺にうでをからめてくる。そして形の良いふくらみが俺のひじにツンツンと当たる!


 うれしい!! けどそれどころじゃない! はやく誤解をとかないと!!

 カノの誤解をとかないと!!


 おれはあせりつつ、ミナミ先輩と腕をくみながら、あと、なぜか俺以外には見えない小悪魔のおねーさんといっしょに学校に登校した。

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