ヒーローは1日にして成らず?
ある日突然未知との遭遇、なにそれ本当にあるわけ?
【ヒーローは1日にして成らず?】
(この辺りに登場する主要CAST)
赤城 (♂)… 普通に毎日を過ごしていた無気力少子化世代の青年。ある日自分が異能力者だと知ってしまう。
司令 (♀)… 宇宙戦艦の艦長服みたいなのが私服になってる、一見アレな感じの女性。喋り方が胴に入っている。
===============
日常、それは退屈で安心で、ぶっ壊したいという人間は数あれど、ぶっ壊されれば慌てふためく砂の城———。
そんな自分には似つかわしくないポエミィな雑念を胸中で
ゲームセンターが悪の詰め所みたいな扱いを受けていたのは自分が生まれるより前の話。そりゃあ
ああ、世は
そんな
入口の方から、
あ、なんか、めんどくさそう。俺のアンテナが訴えた。お願い、来るな、こっちくんな、神様仏様イエス様、頼むから先輩のトコ行って。
俺の完璧な無表情の裏に隠された必死の
ちくしょう神仏ども、俺は一生無神論者を貫いてやる。
そして、【それ】はやたらデカい足音と共に、俺の前で仁王立ちして立ち塞がった。
「そこの君! 突然だが君には秘められた力がある!!」
「…は?」
断言しよう、こいつは掛け値なしの
「驚くのも無理は無い。こんな世知辛い世の中だ、現実に疲れ果てて想像力を活性化させるという行為すら無気力になっているのだろうが、これはまぎれもない事実だ」
よくもまあスラスラと喋れるもんだ。劇団の人か何かか? 何言ったのか
ていうか、ざわめきの原因が分かった。服装だ。ついでに言えばこの人自身も原因の一つか?
ひと言で言うと、銀河を走る鉄道の
ただ、それだけならばそこまでどよめかないだろうが、目の前のこの人は…長身・切れ長の瞳・ツヤッツヤでサラッサラなロングヘアーの、モデルと言われたら素直に信じてしまいそうな
俺は自分でも驚くほどの冷静な分析結果を脳裏に、コッソリこちらをうかがっていた先輩の方をマッハで見る。しかし先輩もマッハで視線を外し、いつもならやらない
ああ、あの親指を時計回りに90度へし折ってやりたい。
「運命を、呪いたくなったか?」
鋭い眼差しが俺を射抜く。
俺は覚悟を決めた。
「…ええと、コスプレ用のプリクラなら7階になります」
笑顔が引きつってるだろうなって事くらいは自覚してる。
「ハハハこのツンデレめ。私だってコスプレと現実の差くらいは理解している」
心と体が一つになって口から参った感がはみ出した。
「ふむ、まあいつもの事だが」
艦長 (仮名)は視線を俺の左胸、
「
「思うだけじゃなくて言っちゃいましたごめんなさい」
あれ、聞こえてなかったのかよ。言ったのバレちゃったよ。
しかし艦長は特に気に留めた様子も無く続ける。
「気にはしてない。当然の反応だからな。とりあえず私が言うよりも実際に自分の目で確かめた方が早いだろう」
え? 何を?? コスプレ???
戸惑う俺を他所に、艦長は自らの背中、マントの内側をまさぐり、取り出したのは———
「ホレ、この水の入ったヤカンの下に手をあててみろ」
「
再び、心と体が一つとなった。
「小さい事は気にするな。さあ!」
艦長の切れ長の目がくわっ!っと見開かれ、有無を言わさない圧で迫った。ヤカンと。
ちょ、ま、無駄に美人なだけに近いの困る!
だって未成年だもん。
「し、仕事中なんですけど…」
ドギマギしつつ、先輩を見る。
こちらを見ていない。
なのに【
先輩…期待はしてなかったけど、いつか
「ふふふ…今に仕事などと言っていられなくなるぞ」
俺は観念した。
(本編次話【じっと手を見る厨二ポーズが意外に使い勝手が良くて困る】へ続くッ!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます