私たちはいい子じゃない

絵空こそら

第1話

 別れよっか、と言うリイの言葉が、どんな感情も透過せずに届いた。嘘。1%くらい恨めしかった。でも追いついてきた感情が安堵の色をしていたので、そうねと私もいうことができた。

 別れよっか!とか別れよっか…だったら渋ったかもしれない。「肉まん食いに行こっか」ぐらいの調子で言われたので、「いいね」と言うような具合に私も応えることができた。

 私達は目を合わせなかった。防波堤の上に腕をのっけて、暗い海を見ていた。水面に月と星とがきらきら揺れるのを見ながら、リイも「そうね」と答えた私のこと、1%くらい恨めしく思ったかしら、なんて考えた。

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