金ないしサイゼでいい?

「金ないしサイゼでいい?」

「サイゼいいですよ!」

 翌日。サイゼリヤ。

「久しぶりー。元気?」

「お久しぶりです。元気ですよ。なんかサイゼやと学生時代思い出しますね」

「ねー」

 適当に注文する。

「話というのはですね」

「はい」

「恋愛観についてインタビューさせてほしいということなんですが」

「はあ」

「どこから話したもんかな……まあまず僕は今恋愛小説をインターネットで発表してるんですよ」

「なんかやってますね」

「読んだ?」

「いや読んでないです」

「まあ別に読まなくていいですよ。で、まあ毎日毎日やってたらいい加減ネタも切れてだいぶつらくなってきたから、ちょっとインタビューでもしてみようかなと」

「なるほど」

「流れとしては、まず僕の親しい人にインタビューしていって、次に僕の親しい人からその人の友達を紹介してもらって、という風にどんどん繋がっていって、最終的には全然知らん人にもインタビューしたい、ということなんですよ」

「なんか楽しそうですね」

「友達の友達を紹介してもらう段階になると、僕の書いてる小説がある程度面白くなってないと困るから、今のうちに頑張って実績を積み上げて面白い小説に仕上げておきたいんよねえ」

「まあ私読んでないですけど」

「まあ別に読まなくていいですよ。それでインタビューの流れなんですが、現在から過去に遡っていく形でとりあえず今の恋愛状況について教えてもらって、どうしてそういう状況になったのかということを話せる範囲で話してもらうということで。あ、一応ルールとして、話したくないことは話さない、録音はしないけどメモは取る、ここで聞いた内容は口外しないけど小説に反映することがある、がある」

「思ったんですけど、知らない人の恋愛についてインタビューするってめっちゃ難しくないですか?」

「そうかなー。僕の経験上やと利害関係ない方が話しやすいというのはあるし」

「まあそうなんですけど、普通にその人のこと知らないとちゃんとした質問ってできなくないですか」

「まあそこは今回、初回を通してこれは効いたな〜っていう質問を抽出して、テンプレートみたいなのを作ろうと思ってるんよ。あとまあ言えるのは、僕って初対面の人相手でもある程度興味を持てるし、興味を持った相手には色々と聞きたくなることってどうしても出てくるから、質問に困るということは基本ないんちゃうかな」

「すごい自信ですね」

「何にせようまくいくかどうかは初回次第ですよ」

「あと場所は大事かもしれませんね。サイゼやとちょっと話しづらいこともあるみたいな」

「確かに。前にやってたみたいに自分で店借りて雰囲気作りするのが一番ええんやろうか。恋愛インタビューバーみたいな企画を立てて。ちょっと考えてみるわ」

 料理が届く。

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