例えるなら、ウイスキーのような飲み口。
しかもロックとか水割りじゃない、ストレートである。
一口、飲む。
薄いハイボールや炭酸水に飲み慣れてしまった自分には、少々苦く感じる。
されど、繊細で上品な語り口。
このウイスキーがとても丁寧に作られていると言う事は、わかる。
苦いけど、不思議ともう一口飲みたくなる。
飲み進める内に、段々とその味の奥深さに気付く。
とにかく緻密な筆致と濃密な情報量。
それでいて躍動的で情緒的な描写も見事。
終わりが見えてくると、終わってしまうのが寂しくて飲むペースを落とそうと思うのだが、止められなくて結局一気に飲んでしまう。
飲み終えた時には、すっかりその味に魅了されてしまっている。
もう一回、今度は最初から味わって飲もう。
そう感じる小説だった。
……小説の感想を他の物で例えるのは良くないのかも知れませんが、あと例えるならウイスキーよりワインに例えた方が本当は作品の内容に合うかもしれませんが、自分にはうまく言い表わす事が出来ないので、こういう感想の書き方になってしまいました。
少々難しい所もありましたが、次が読みたくなるし、読んでいく内にどんどん虜になっていき、読みわ終わってからもう一度読むとなるほど!となって、最初から考え込まれていたんだと気付きます。
実に良い小説でした。