綺麗な跡

おちば

第1話

いつもいじられ役だった。

別に変なことをしてなくても笑われたり叩かれたりお前は変だと集団の中で言われていた。



私って何が他の人と違うのかな。

小さな言葉を全て拾って返そうとしてしまうところ?

集団の中で話についていけなくて、変な質問とかしてしまうところ?

声が思ったよりでかいところ?

忘れ物やなくしものが多くてやらなきゃいけない事が嫌いなところ?

感情の波が大きい人が怖くて人間不信なところ?


人には言ってないけど女の子と人生を共にしたいと思っているところ?


今日も、チャラチャラした言動を繰り返して、自分の話はあんまりしないようにして、「お前は何にも考えてない」と言われながら、苦手な雑談を持ちかけ、貴重な1人の時間を提供し、金を使って生きている。


好きなひとが結婚するのを率先して喜び、同じ店で顔を覚えられないようわざわざ遠くに出かける。


目に見える自傷行為をしたって死ねないから。

人にやさしくする度に、自尊感情を潰して心を少しずつ殺している。


見えない痕が上書きされる。

私はまだ大丈夫。寝たら忘れられる。

どうせなら死ぬ頃には綺麗なアートになって、これが生きた証だとか笑って。

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