精霊

物理法則に従う物質世界の中で、

魔法を実現させる為に用意されたインターフェイス。


システムから与えられた使命は二つ。

一つは魔法の恩恵をもたらすことで、

諸刃の剣である科学技術の進歩を遅らせる事。


もう一つは人類と共鳴する事で、

精霊遺伝子を活性化させる事。


契約者が呪文を唱える事で依頼が発生し、

システムに発動を申請する。


使用できるシステムリソースのレベルによって、

階位が分かれている。


精霊遺伝子の発現率が高い程、

上位の精霊との契約が成立する。


下級精霊

給水、照明、加熱、など

生活補助レベルの魔法を担当する。

綿状の外観をしている。


下位上級精霊

運搬、加速、遠視、収音、など

作業補助レベルの魔法を担当する。

昆虫や魚類を模した形態。


中位上級精霊

攻撃魔法が可能と成る。

鳥や爬虫類などの小動物を模した形態。


上位上級精霊

自我と個性を持ち、独自の判断で行動が出来る。

発声器官を備えているので会話が可能である。

大きさを変化させる事が出来る。

人型以外の様々な形態。


特級精霊

システムリソースを無制限に利用できる。

創作魔法を申請する事が許可されている。

イメージの具象化が可能。

人型の形態。


精霊遺伝子はミトコンドリアDNAに組み込まれており、

通常は10~30%程度の発現率である。

そのため、上位上級精霊や特級精霊との契約を成立させるには、

聖女の秘術を授かり、発現率を高める必要がある。


50%以上で上位上級精霊。

70%以上で特級精霊との契約が可能。

(エルサーシアの発現率は99.81%)


日本語を習得すると共に、

聖女や人型精霊と信頼関係を築く事で

精霊遺伝子が活性化する。

直達正観じきたつしょうかんの法)


精霊との親和性が高くなると、

生死に関する執着心が薄まり、

主観的価値観から客観的価値観への

移行が始まる。


個人レベルでの変化は大きく無いが、

種族全体での変化はパラダイムシフトを誘発する。

その起爆剤となる特異点として、

エルサーシアは転生させられた。


**********


「人類の自滅癖を矯正きょうせいするためですの?」

「そう言う事ですね。」

「どうして私でしたの?」


「第一段階でタイプの異なる

四人の被験者を送り込んだでしょう?」


「四始祖ですわね。」

「えぇ、彼らの内で自滅しなかったのは

伊予ちゃんだけなのですよ。」


「そうでしたわねぇ。」

「で、伊予ちゃんと波長の近い

サーシアを選んだのですよ。」


「なるへそ。」

「へそ?」

「あら?言わない?」

「言いませんよ、へそなんて。」

「へぇ~そぉ~」


「・・・・・・・」

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