夢日記

 それはかつて親友と、もう一人の男の子と車に乗ってた私。当たり一面真っ白な雪化粧だった。


 ふと気付くと村が見えてきた。なのに親友は止まらず突っ込んでいった。人は逃げるので必死に、果物や野菜は弾け飛び、私の恐怖も弾け飛びそうになる。


「ねえ!何してんの、ねぇ!〇〇?」


 親友の目は虚で何かに操られているみたいにまばたきすらしていなかった。

 次の瞬間正気に戻ったのか、焦りに焦りまくる親友。

 このままだと崖下にみんなで仲良しダイブしてしまう。ていうか凍死で仲良死になってしまう。

 果たして、車も皆んなも川へダイブした。


 不思議と寒さはあまり感じなかったが嫌悪感、親友に対した怒りで震えてしまう。

 すぐにドアを開け逃げようとしたが踵を返した。

 旅行のリュックを忘れていることに気づき、端はすでに濡れているが構ってる暇などない。

 3人は無事村に辿り着いた。

 だが当然村人達は怒りに満ちた目を向ける。

 あんな飛び入り運転されて商品を粉々にしたのだ、何も言い返せない。出てくる言葉は謝罪だけだった。

 そういえば二人は見つからないな、と外へ出てみる。少し遠くに親友達と新品の車があった。

 これで帰れるかもしれない。不安感は消え、期待をいっぱい抱え込んで足は早くなる一方だった。

 もう少しで、と言うところでエンジン音が鳴りタイヤが動き出した。

 さっきの期待も飛んでいってしまった。


「わた、えっ?私も乗せてくれないの?」


 親友達はバツが悪そうに目を合わせてくれない。

 そして車は走り出し、財布と真冬用のジャケットだけが吹雪に仰がれていた。

 絶望しながら失望する私に声を掛けてくれる人は居なかった。腹を括りジャケットを羽織りその中に財布を忍ばせてきた道を辿ることにした。


 吹雪は止まず、帽子から出て揺れている髪も氷かけている。

 そんな中でさえ金の匂いを嗅ぎつけたのか、そこらの悪ガキ共が群れて来た。中に一人、男の人もいた。非常にまずい。

 良い加減にしてくれ…私は史上最悪に機嫌が悪いんだ。

 慣れた手つきでジャケット内を漁ろうとした子供を叱咤し、数メートル先までジャンプをしてその場を去った。自分で言うのも気が引けるが、身体能力が普通の人間とは釣り合っていないほどスキルが高かった。今思うとすぐに追いついて私が地面に転がしてもよかったのにな…と今更ながらに思った。


 時期に吹雪は止み、人がいないスラム街のような場所に出た。居る人とすれば、隊服を着ている。

 間違いない、真選組だ。

 ジャケットを翻し屯所に足を運ぶ。

 あろうことか私を置いていった親友達の車を発見した。あのクソ野郎共ここでタイヤを休めていたのか…。


 局長が私の目を射抜くように見つめる。

 こうなりゃやけだ、もう真選組に入ってやろうかと局長に直談判を申し立てた。が、局長が口を開く前に副長の殺気を感じ直ぐに攻撃の体制に持ち込んだ。何やら相当私のことが気に食わないらしい。

 よく顔を見てみると金目当てに群れてきたガキの中に居た唯一の大人の男だった。

 なるほど、それは胸糞が悪いな。


 すぐに鬼ごっこは始まった。

 生憎怖がりなもんで、逃げるのには慣れている。


「銃の扱いは知らんがちゃんとエイムを合わせてから撃ちやがれ」


「エイムってなんだよクソ野郎!マジなんなんだよコイツ…!」


「照準、だよ。この時代だとまだエイムって言葉は知らないか、ごめんね」


 煽り散らかしながら銃弾を交わし、身を翻す。


 するとひょっこり壁から親友が覗いてるのが見えた。今までの鬼ごっことは違い本気で副長との間合いを詰めて銃を奪い取り照準を親友に合わせた。

 副長はあまりの速さに驚いたもののすぐ状況を読んだ。やめろ、と目が訴えている。


「そんな事だろうと思った、お前アイツに惚れたんだろそして〇〇、お前も」


 その通りだった。親友は私の嘘の噂を流し私に敵意を向けるようにし向いていたのだ。心底クズな女だ。親友と名乗っているのが馬鹿らしくなってくる。


「局長!…そして隊長、入団の許可、貰っていい?」


 了解の暗黙だった。私はすぐに副長に告げる。

 出来るだけ嫌味っぽく、悪戯な笑みを浮かべて。


「私が欲しいのは副長の座だよ。お前は〇〇と結婚でもして副長の座を降りろよ」

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