第2話
「つまり、気が付いたら知らない場所で倒れていたと」
詩音は今までの経緯をセシルに説明していた。
「日本という国は分かりませんし、帰る方法なんて見当もつきませんねぇ。でもなるほど、このあたりの人で王都の場所が分からないなんてありえませんから、理由が分かりました。では、王都まで一緒に行きましょうか」
「うん、よろしく」
二人は王都へ向かい歩き出した。
「つきましたよ。ここが王都、ハイネスです」
王都ハイネス。そこは大陸で一番大きな国バッフェングレス朝ドミスクの行政都市である。面積、人口共に国内最大であり、国内で最重要都市だ。
「ここに来るまでに話は聞いてたけど、相当大きいなここ」
「そうでしょうそうでしょう。では、ギルドまでご案内いたしますね」
ギルド内はとても広く、にぎやかだった。
「この施設はギルドと酒場が一緒になっているので冒険者のみなさんはよく任務帰りにここで食事をしていくんです。酒場は入って左側、ギルドの受け付けは右側にあります」
説明を聞いていると、
「おい兄ちゃん新入りか?! いっとくがここは半端門が来るとこじゃねえんだ。とっとと家に帰るんだな!」
鎧を着た男が絡んできた。
「お酒の飲みすぎですよ! さ、右京さん。ほっといていきましょ」
「おい待てよ。てめぇ俺を無視して行こうとはいい度胸だ。表出ろや」
「できれば喧嘩はしたくないしそもそも俺はあんたのこと名前も知らないぜ。それなのに喧嘩なんかできるもんか」
「俺の名はガリウス! ここで冒険者をやってて職業は戦士だ! これでいいだろ。なら喧嘩もできるよなぁ!」
「いやしないっていっ」
「うるせぇオラァ!」
突然ガリウスが剣を抜き襲い掛かってきた
「剣はダメだろ! 剣は!」
「うおりゃぁぁぁぁ!」
ガリウスは勢いよく剣を振り下ろす
「やめてぇぇぇぇ!」
その刹那、
「島原流柔術、
剣を振り下ろそうとしていたガリウスは、いつの間にか宙を舞っていた
「うおおっ!」
そして勢いよく地面へたたきつけられた。
「いきなり襲い掛かってきたあんたが悪いんだからな」
「ううッ……」
「あっ。のびちゃってますね」
うおおおおおおおおお!すげぇ! ガリウスの野郎をのばしちまいやがった!!
ギルド内で歓声が沸いた。
「あんた見ねぇ顔だが、すげぇ強いんだな!」
「とんでもねぇ新入りが入ってきたもんだぜ!」
他の冒険者たちが騒ぎ出す。
「ん?なんか勘違いされてない?」
「そうですね……でもいい機会ですし入会されてみてはいかがですか?」
「いやでも」
「絶対入会した方がいいですよ!先ほどのお礼に入会金は無料にしますし!それにここにきて間もないのでお金に困ってるんでしょう?冒険者はお金を稼げるのであなたにとってもいい話だと思います!」
「そ、そこまで言うなら」
おおおおおおおおおおお!ようこそギルドへ!よろしくな兄ちゃん!
また歓声が沸いた。
「そうと決まればさっそく手続きに参りましょう!」
こうして詩音のギルド入会が決定した。
「書類の記入はすべて終わりました。それではこちらで水晶に手をかざしてみてください」
詩音は入会申請を終え、応接室の奥にある水晶の方へ向かった。
「これは手をかざした人の能力を測る魔道具です。測定結果は横に置いてある紙に浮き上がってきます。能力は力、知恵、魔力の3つの項目があり、それぞれEからSまでで評価されます」
「能力とは別にスキルの有無も測定してくれます。今はほとんどないかもしれませんが経験を積んだり誰かに教われば使えるスキルがどんどん増えていきますので頑張ってください!」
「まさにファンタジーって感じ」
「ふぁんたじー?」
「い、いやなんでもない。じゃあ、いきまーす」
水晶に手をかざすと淡い光を放ちだした。しばらくすると隣の紙に結果が映し出された。
「結果は、と」
測定の結果は、
力:S
知恵:C
魔力:E
スキル:島原流古武術
だった。
「この島原流古武術というスキルは分かりませんが力のステータスが非常に高いですね!なら職業は戦士や武道家系をおすすめします!」
「俺は前は武術をやってたんだ。だから武道家にするよ」
「わかりました。ではそのように登録しますね」
「おめでとうございます!これであなたは冒険者です。その結果の紙は冒険者カードとして利用しますので肌身離さず持っていてくださいね」
「わかった。でも魔力がEなのは結構ショックだなぁ」
「力のステータスがとても高いんですからいいじゃないですか。Sなんて遠方で活躍されてる勇者様くらいしかいないんですから。それより、ギルドは新入会キャンペーンで初期の装備一式を買えるよう少しだけ資金援助をしています。このお金を使って街で装備や武器などをそろえてくださいね」
晴れて冒険者となった詩音は街へ装備を買いに出かけるのだった。
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