俺の武術は異世界でも最強だと証明してやる!
ぽりまー
1章ー転生と出会い
第1話
「詩音よ、武術は誰かを守るために使いなさい」
「右京てめぇ、今日という今日は許さねえ!」
「4人がかりが卑怯とは言うなよ。これは喧嘩じゃなくてリンチだからなぁ!!」
「師範に暴力はダメって言われてるんだ。それにこれから稽古で急いでるんだよ。帰らせてくれよ」
「やっちまえ!」
不良たちが詩音に飛び掛かった。
「オラァ!」
不良の1人が右ストレートを繰り出す。
「ほっ」
詩音はそれを受け流しながら相手の側面へ飛び込みそのまま
「それじゃっ」
全力ダッシュで逃げていった。
「ま、待てやゴラァ!!」
しかし、不良が追いかけようとした瞬間には詩音の姿は無かった。
一方、不良から逃げた詩音は道場へ向かっていた。その道場には師範が一人いるだけで詩音以外の弟子はいない。
「師範はいらっしゃいますか!」
道場入り口で叫んだ。
「おお、詩音か。待っておったぞ。どれ、早速稽古を始めるか」
その後、日が沈むまで二人は稽古をした。
「といっても、もう詩音に教えてやれることは何もないんじゃがのぉ」
「いえいえ、まだまだ勉強させてもらってます」
「しかし、よくこんな古武術を会得しに来たものだなあ。もっと空手とか柔道とかもあっただろうに」
「ここの古武術は名前こそ近年よく聞きませんが、昔は日本で最も強いとまで言われた武術。やっぱりかっこいいじゃあないですか」
この道場は、島原流古武術を教える道場で、徒手、刀、分銅など様々に教えている。詩音は家から近いことと興味本位で小さいころから通い、17歳にして免許皆伝するまで極めていた。
「そう言ってくれると師範冥利に尽きるわい。ところで、妹さんは元気かい?」
「はい。元気にやってると聞いております」
「留学は大変そうじゃから、安心したわい」
詩音には一つ下の
「ではそろそろ帰りますね」
「ああ、気を付けての」
詩音は道場を出て帰路に就いた。
帰り道、踏切に差し掛かったところで踏切がなり始めた。
「ついてねえなぁ」
そんなことをつぶやきながら踏切があくのを待っていると、不意に何者かに背中を押された。
「ウワッツ」
そのまま線路内に入ってしまった。さらに運の悪いことに電車はすぐそこまで来ていた。
そしてそのまま…………ここで詩音の意識は途切れた。
次に目が覚めた時は太陽が一番上まで上っていた。
「俺は一体……」
重く痛い頭を抱えながら起き上がりあたりを見渡す。するとどうだろう。踏切も電車も何もなくあるのは一帯に広がる草原のみ。
「ここはどこだろうか。」
詩音は全く知らない場所へ来てしまったようだ。
ここにとどまっても仕方がないと思った詩音はとりあえず移動してみることにした。しかし、歩いても歩いても何かがあるわけでもなく、ついに夕方になってしまった。
(腹が減ったな……)
そんなことを考えながら今の状況に軽く絶望していると突如女性の叫び声がした。声は割と近いようだ。詩音は声の方へ走った。そして見たものは、ヨーロッパ系のような白人の少女と豚の顔をした大男だった。
「もしかして、オークってやつかな。でも漫画でしか見たことないし。ってか! なんで目の前にオークがいるんだよぉ!」
詩音は混乱した。
「そ、そこのお兄さん!助けてください!!」
少女の声で少しだけ我に返った詩音は状況分析をした。
(オークが目の前にいるってのはさておき、女の子が襲われている!師範は誰かを守るために使えとおっしゃっていたが、今がその時だ!)
「おい! 俺が相手だ!!」
詩音は叫び、オークの注意を引いた。
そしてそのままオークとの間合いを詰めた。
(先手必勝!)
詩音は回し蹴りを放ち、そのままオークの顔面を蹴り抜いた。そして、爽快な音とともにオークは膝から崩れ落ちた。
「大丈夫か?」
「はい、助けていただきありがとうございました! 私はセシルといい、この先の王都の冒険者ギルドで働いています。後でお礼をさせていただきたいのでぜひいらしてください!」
セシルは深く頭を下げた後、颯爽とその場を離れようとした。
「ち、ちょっと待って」
「はい?」
「ちょっとお願いがあるんだけど」
「王都が分からないから連れてってほしい」
「……はい?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます