何か家政婦として働き始めたバイト先の1軒目がうちの同級生の家なんだが.....。

アキノリ@pokkey11.1

1軒目で.....。

高校2年生、桜道穂乃果(さくらみちほのか)。

まあ言わずと知れた美少女であり俺の同級生の女の子である。

その存在は俺、冴島涼(さえじまりょう)とは天地の差がある。

何故かといえば俺は路傍の石。

彼女は高嶺の花。


よく分かる例えだろ?

つまり俺は.....人気者でも無い様な中途半端なリア充だ。

まあ桜道には興味が無いので.....別にどうだって良いのだが。

思いながら.....俺は外を見ている日々が続いていた。

のだが。


「.....さ.....桜道の家なのか!?此処は!」


「そうだけど.....まさか本当に貴方だったなんて」


3階建ての家。

その玄関で目を丸くする.....美少女。

黒の長髪と.....赤のリボンが揺れる中。


家政婦の俺は掃除が得意なので家掃除のアルバイトを始めたのだが。

最初にやって来た家が.....まさか桜道の家だとは。

思いながら.....俺は驚愕する。

桜道という名字は珍しいと思っていたが.....まさかだったな。


「.....貴方が家政婦のお仕事係?」


「.....そうだな.....うん」


「.....じゃあ入って。.....早速掃除して下さい」


「.....あ、ああ。.....任せてくれ」


桜道って名字はやっぱ珍しいよな。

思いつつ.....俺はバケツとかそういう物を持ちながら。

そのまま桜道の家に失礼した。

それから中に入って行く。



「.....そんなに汚れてないな。.....これで何で家政婦を呼んだのか?」


「.....私.....ハウスダストが得意じゃないの。.....例え汚れてなくても埃は立つでしょ?だから掃除して欲しいから。.....それに.....」


絶対に丁度良かった、と柔かになる桜道。

どういう意味だ?

俺は思いながらも.....俺はバケツに水を入れたり洗剤を入れたりして。

そのまま、ヨイショ、と思いながら立ち上がる。

それから桜道を見る。


「じゃあ掃除していくけど.....」


「.....そうね。有難う」


「.....そんなにマジマジ見られると困るんだが」


「マジマジ見られると困るの?」


「困る.....かな。.....恥ずかしいんだ」


そうなんだ。

私でも恥ずかしい?

とニコッと笑顔を浮かべる桜道。


こんな笑顔は初めて見たな。

俺はその姿に紅潮しながら頬を掻く。

まあ当たり前だろうな。

美少女に.....それも.....人気者に。

見られたら恥ずかしい。


「.....でもそう思ってくれるのが.....嬉しい」


「.....?」


「.....ふふふ」


「.....???」


俺は目をパチクリする。

ニコニコしながら桜道はしゃがんで膝で頬杖をつく。

桜道の言う事が訳が分からない。


俺は思いながらも仕事をする事にした。

だがその.....ずっと桜道は背後を付いて来る。

俺は首を傾げずにはいられなかった。

するとポツリと桜道は呟く。


「ずっと興味があったの」


「.....何の興味だ?」


「.....貴方にね」


言いつつ。

俺の背後からハグをしてき.....が!?

あの桜道が、だ。

愕然として俺は真っ赤になる。

何をしているのだ!!!!?


思いながら.....桜道を見る。

桜道は俺の背中に顔を埋めたまま。

好き、と呟いた。


「.....は、は!?」


「.....そもそも今日.....呼んだの.....君に会う為だったから」


「.....ハァ!?じゃあハウスダストとか.....」


「.....冗談だった。.....御免なさい。.....貴方に会いたくて」


「.....オイオイ.....真剣にやろうとしたのに.....」


「.....そういう所に惹かれたよ。私」


あまりの衝撃に。

モップを落としてしまった。

好き、という衝撃と。

嘘を吐いてまで俺を呼んだ衝撃に。

俺は驚愕しながら.....桜道を見つめる。


「.....好き」


「.....もう良いって。分かった。恥ずかしいから止めてくれ」


「.....付き合って下さい」


「.....あのな!この家には誰か.....」


「居ないから。家族はみんな外」


「.....な!?」


桜道は離れてからスカートを翻す。

それから俺に満面の笑顔を浮かべる。

花が咲く様な笑顔を、だ。

俺は真っ赤に染まった。

頬が、だ。


「.....桜道.....何処で俺を.....」


「.....私は.....忘れているかもしれないけど貴方に中学時代に助けられた。.....だから好きになった。プリントを.....配ってくれた。好きになった」


「.....勘弁してくれ.....たったそれだけの事で.....」


「.....ずっと貴方を見ていた。貴方は.....それでも私を助けてくれた。.....だから好きなの」


「.....!」


赤くなる桜道。

駄目だ。

頭がクラクラする。


この美少女にいきなり告白されるとか.....有り得ない。

ドッキリなんじゃないかって思ったが。

それも違うみたいだ。


「.....マジに俺が好きなの?」


「.....うん。.....好き」


「ドッキリとかじゃなくて?」


「.....うん。真面目に」


「.....」


桜道はモジモジしながら俺にはにかむ。

唐突すぎる。

まさか家政婦を初めて1軒目で告白されるとか。

誰が思うのでしょうか.....

思いながら.....居ると。


「.....これからも定期的に呼ぶから来てね。掃除に」


「.....お前.....でも掃除が無いのなら意味無いぞ.....俺はハウスメイトなのに」


「.....お金はきっちり払う。.....困っているんだよね?」


「.....!」


「私の家のお掃除の専属になって。.....ね?それにここなら.....掃除係なら.....ただそれだけで怪しまれないし。.....アハハ」


そして彼女は歯を見せて笑顔を浮かべた。

俺はその姿にボッと赤面する。

本当に可愛らしい笑顔に。

守りたい感情が.....強くなってしまった。

この笑顔を誰にも取られたく無い感情というか、だ。


fin

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