第25話 別れ際のいらない新事実
「出番を奪ってしまったかしら?」
「ごめんなさいね」
佐藤さんと鈴木さんが謝る。
「いえ、助かりました。最後の力を残せましたから」
「あぁ、お陰で莉子殿と話す時間が出来た。感謝する」
アレクシスと
そうだったわね……二人はもう……
私は、また独りぼっちになるのかな……
「莉子さん、大丈夫だよ。佐藤さんが誓ってくれたから。莉子さんが幸せになるまで見守ってくれるって!」
「心配ないよ莉子殿。鈴木さんが約束してくれたからな。莉子殿を見守ってくれるとな」
「佐藤さんと、鈴木さんが?」
「そうだよ、知らなかったのかい? 二人が毎朝早朝から掃除していたのは莉子さんを見守る為なんだよ」
「二人を唯の掃除好きのご近所さんと思っていたのか? 魔法を使わなくても他人の気持ちが汲める凄い人達だぞ!」
私は一人じゃなかった。
見守ってくれる人達が身近にいたのね。
教えてくれてありがとう二人とも。
徐々に薄くなっていく二人の姿。
色々伝えたい事があるけど時間がない。
だから、せめて、最後に二人の気持ちを確認したい。
「アレクシス、
「楽しかったよ。魔王と戦う以上の凄い冒険をしたってエヴリンに自慢するさ」
「楽しかったさ。もっと一緒に過ごしたかったと思うくらいにな。娘への特上の土産話になった」
二人が楽しいと思ってくれていたなら思い残す事はない。
「さようならアレクシス、
「莉子ちゃんの事は、おばちゃんに任せてよね!」
「私達がいるから心配しなくて大丈夫よ!」
静かに消えていく二人を、佐藤さんと鈴木さんと一緒に見送った。
二人の最後の笑顔は、悲しい気持ちを抱かせないくらいに、爽やかで、温かかった。
後はーー
「ロウスァ、これからどうするの?」
「元の次元に帰る。それと、ロウスァではない。モッチャリロウスァだからな!」
「一番じゃなくなったのよね?」
「ふん、次元警察は壊滅したのだ。だから、残った私が
モッチャリロウスァを見つめる。
出会った頃とは比べ物にならないくらいボロボロね。
背中にあった4本の腕はなくなったし、聖剣で刺された胸の傷口から血が流れている。
着ている警察服も所々破けている。
私を止める為に、こんなにも傷ついていたのね。
いきなり銃で襲ってきたから敵だと思っていたけど、今は感謝している。
「ありがとうモッチャリロウスァ、私も貴方が
「当然だ! 用件は済んだ、達者でな。元召喚士の娘」
そう言った後、モッチャリロウスァが背中を向けて歩き始める。
モッチャリロウスァ……おしり破けてるよ……
次元・警察・宇宙人な彼は、最後にブリーフ派だったという不要な情報を残して去っていったーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます