同棲生活 3日目

土曜日の朝

 PCやスマホをいじっていると、寝落ちなんてよくある話。俺もそんな感じで深い眠りに落ちていた。


「……朝か」


 カーテンの隙間すきまから陽射ひざしが射して、さっさと起きろと言わんばかりに目を焦がす。更に、戸をノックする音。


『大二郎、おはよう~。起きているよね』

「ああ、おはよう。ああ、さっき丁度な」

『開けていい?』

「構わんよ」


 ガラッと戸を開けるリアが姿を現す。

 昨日の可愛らしい寝間着姿でなく、まるでこれからデートに行くかのような清楚せいそなワンピース姿だった。


 これは、どこかのご令嬢かな。

 そういえば、リアには“氷の令嬢”なんて異名があったな。似合いすぎるよ。


「どうしたの、ボ~っとしちゃって」

「……リア、お前の私服可愛すぎだろ」

「えっ、嬉しいなあ♡ 大二郎の為に見繕ったワンピースなんだよ。気に入って貰えるかな~って」

「マジかよ。そりゃ嬉しいよ」

「あと下着もね♡」


 ――ナ、ナンダッテ。

 それは想定外というか、そこまでしてくれるとか朝から興奮する。おかげでボ~っとしていた頭がスッキリしていた。


「……さ、さて。部屋の片づけを」

「わたしはもう終わったよ」

「は?」

「大二郎が眠っている間に済ませたもん」

「早いな」

「これでもショートスリーパーですから!」


 えっへんと胸を張るリア。そうだったのか、それは羨ましい。俺は逆に眠らないとダメな体質だからなぁ。仕事せいだな。



 ◆



 身嗜みだしなみを整え、朝食は『キャロリーメイト』でサクっと済ませた。リアが俺の部屋の片づけを手伝ってくれるというので、お願いした。


 おかげで三十分も掛からず完了。

 共同作業って良いモノだな。


「ありがとう、リア。おかげで片付いた。この礼は必ずする」

「いいよ。同棲してるんだから、手伝うのは当然だもの」


 同棲――か。

 とはいえ、現状は本当に付き合っている恋仲ではない。まだ住み始めてたかだか二、三日。お互いの事も……割と知った方だけど、まだまださらけ出していない部分だってある。これから、良いところも悪いところも見えてくるかも。


 ……いや、良い事だらけだな。

 リアは、俺の心の支えだ。


「よし、時間も十分にあるし、約束通り弁天島を歩いて回るか」

「ほんとー! やったー!」


 喜ぶリアは俺の腕に抱きつく。

 ……うわぁ、良い匂いッ!

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