ロシアっ子は照れ屋

 ……よく見れば手が震えているじゃないか。無茶しやがって。


「馬鹿。そんな顔真っ赤にして目の前で脱がれても嬉しくないって」

「……うぅ」

「俺は荷物を整理してくつろいでいるから、リアはゆっくり風呂に入るといいよ」


「うん。……でも、やっぱり大二郎は信頼できるなぁ」

「ん、どういう事?」


 リアは恥ずかしそうに視線を外し、腰まで伸びる長い銀髪を指でくるくるいじる。なぜ口籠くちごもる。



「Я влюблён в тебя」(つまり好きってことなの!)

「……? すまん、ロシア語は分からん」



 あ……行っちゃった。

 意外と照れ屋らしい。という俺も極度の緊張状態だったのは内緒だ。カッコ悪い所を見せるわけにはいかないからな……頑張った俺。偉いぞ俺。


 ◆


 ――リアが風呂に入っている間、俺はデスクへ向かった。といってもまだ引っ越してきたばかりで『みかん箱』なんだけどな。


 ノートパソコンを開いて適当にサイトを閲覧していると、スマホが『ピョコ』と音を出す。誰かメッセージを送ってきたな。


「ん、これは……」

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