第3話 負けないんだから!(鈴木佳奈 視点)



私の名前は鈴木佳奈。クラスの高橋優斗、武田竜馬、加藤匠とは幼なじみである。

突然だが私は(高橋)優斗の事が前から好きなのだがまだ言えないでいる。

きっかけはというと私が小学4年生の時、一人で下校していると学校を出る時まではあった、自分のポケットの中にお気に入りのハンカチが無いことに気がついた。

私は辺りを見回したがそれらしきものは一切なく焦り始めた。

焦りながらさっき来た道を戻り、探したが見つからず段々時間だけが過ぎていき辺りは暗くなってきてしまった。

私は途方に暮れ段々涙がこぼれ落ちてきてしまった。

そしたら後ろから「どうした?何かあったのか?」と話しかけられた。

後ろを振り返ると同じクラスの優斗がそこにいた。

何故だかホッとした気持ちになりもっと涙をこぼしてしまった。

優斗は焦っていた様子だったが「ほら使えよ」とハンカチを差し出してくれた。

そのハンカチを貸してもらい涙を拭いた時、優斗のハンカチの匂いが優しくて温かい気持ちになった。

だいぶ落ち着いてきて、ハンカチを無くしてしまった事を話した。

優斗はその話を聞いてすぐに「じゃあ探そう。俺も手伝うからさ」と言ってくれた。

優斗と一緒に探し回っていると辺りはすっかり暗くなってしまった。

「う〜んなかなか見つからないなぁ…」

優斗がそう話した瞬間、優斗が「あっ!」と少し大きめな声を出した。

私はその声に少し驚き優斗の方を向くと、優斗が一匹の猫を見ていたので私もその猫を見ると、猫の口にハンカチが咥えられていた。

「あれ!私の!」というと優斗は猫のもとにいき、猫の頭を撫で始めた。猫も大人しく撫でられていて、数分くらい撫でていたら口に咥えられていたハンカチを置いて去っていった。

そのハンカチを拾いなぜか少し申し訳なさそうに私に渡した。

「ごめんな。もっと早く見つけてあげられていたらよかったんだけど…」

その言葉に私は驚いたが、優斗との優しさを知る事ができた。

「ううん。ありがとう優斗!次から落とさないように気をつけるね」

私は感謝の言葉を優斗に伝えた。

「うん。もしまた何かあったらすぐ言えよ」

その言葉に私は胸がチクッとしたような気がした。

それから私は意識するようになり、段々と優斗の事が気になるようになって現在は絶賛片思い中だ。



中学でも同じクラスになり学校で流行っているくじ引きゲームに私はいつも願いを込めている。

しかし、なかなか神様は甘くなく今現在叶えられていない…。

それなのに、今起きているのは夢?夢であってほしいと思った。

優斗が引いた紙に優斗の名前が書かれていたのを知り私は神様に「神様どうか!どうかお願いします!」と祈ったが祈りは届かなかった……。

引いた紙に書かれていたのは、優斗の隣の席で優斗が嫌いな子だった。

何だかどこか嫌な予感がした。優斗は嫌いって言っていたから大丈夫だと思うんだけど…女の勘?それは分からないが鼓動が早くなる。

「取られたくない」そう思った時、私は佐々木を睨んでいた。

「ガラッ」とドアが開く音が聞こえ、先生が授業をしに入ってきて我に返った。



負けないんだから!私はそう決意した。










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