【そのじゅう】 - 底知れぬ闇
愛する人の腕に再び抱かれて眠ることを望みながら叶わなかったあの日から、私の心には大きな傷がついている。
祖父と引き裂かれた時に感じた心の奥から湧き上がるような痛み。
人を愛しても、いつかその人の腕の中にいられなくなる現実が訪れるかもしれないという恐怖と絶望。
もう二度と、あんな思いはしたくない。
ーーーーー
シフォンのカーテンから月の光が透けている。
祖父が天に召されたあの日と同じ、仄暗い明かりの中で彼が私を抱きしめる。
触れる唇と肌が心地いい。
頰に触れると髭が私の手を刺激した。
大好きな彼の香りに包まれて幸せな気持ちに満たされる。
だが、その瞬間また恐怖感が込み上げてくるのだ。
私はいつまでこの底知れぬ闇に揺らぐのだろう。
彼に抱きしめられながら、自分の中の闇が一層深くなっていくのを感じた。
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