第43話 図書室の本
ちょっと図書室に行こう。
……まだカガミ様のことについて調べなきゃいけないことが山ほどあるんだから。
そして図書室に向かう。
あの黒い本があったあたりを集中的に探す私は、時間なんてものは気にせず探し続けた。
あの黒い本があった場所なら同じようなことが書かれた本なんていくらでもある……はず!
そんな期待を胸に私は必死になってそれらしい本を手当たりしだいに手に取っていく。でもそんな簡単に見つかるはずもなく、気づけば1時間がたっていたようだ。
……でも、調べなきゃいけないことだから極力今日中に見つけておきたい…。
そして探してからだいぶ時間がたったころ、黒い本のように変わった色をした本が私の目に留まった。
もしかしたらこれかもしれない。
そう思うとなんだかワクワク感が湧いて出てくる。
またカガミ様について詳しく知ることができるんだ。
カガミ様のことを知れば知るほど怖いことも増えていくけどやっぱり正解、答えに近づいているような気がするのが少し楽しいというかなんというか……。
この楽しさって何て言うんだろう。
言葉が見つからないけど、答えに近づいて言ってるのは肌で感じられる……。
そして私はそんな感情を巡らせ、本を手に取って部屋に戻ることにした。
表紙に書いてある「カガミ様と火神家」という確実な文字。これは私の知りたい話だっていうのがタイトルだけでわかってしまう。
あの本には書いてなかったタイトルも、この本には書かれてるからわかりやすい。
でもやっぱりこの前と同じような雰囲気が漂っているような気がする。なんだか不気味で……少し怖いこの雰囲気、いったい何がそう思わせてるんだろう。
……まぁ……そんなこと気にしてたら読むにも読めないし、さっさと読んでカガミ様のことを知ろう。
そして私は本を読み進めていく。
書いているのはあの黒い本と同じような始まりで、どんどん読んでいくうちに、私が今気になっていることが書かれていることがわかる文章が目に付く。
『カガミ様は気に入った人物を逃すことはないかもしれないが、一つだけ、カガミ様から逃げられる方法がある。
それは、どこか遠いところへにげ続けることだ。カガミ様は殺されたのにまだ生きている……という現象を作り出すことができる。そのため殺されたらあそこにいたはずなのにどこか違う場所に行っているという現象が起きてもおかしくないのだ。だがその違う場所では前にいた場所での記憶はほかの人にはまったくなく、殺されたはずの人間が生きていることもないとは言い切ることができない。
そして本題のカガミ様から逃げきる方法については、最初殺された場所からカガミ様に会うことなく100キロ以上遠い場所へ向かうことだ。単純そうに聞こえるかもしれないが、この先何があるかは全く分からないため、逃げている途中に殺される可能性は100%に近い。
だから、可能性に欠けるかかけないかは自分次第……ということになる。
この本を読んだ人が逃げている途中に殺されないことを願おう』
……ほんとに、逃げられる方法があるの?
確かに私の家までは100キロあるかないかくらいかもしれないけど逃げている途中に殺されてしまう可能性が100%近くもあるなんて……こんなの、運にかけるしかないじゃない。
そう私はあきらめかけていた。
だって殺されない可能性が10%もないってことでしょ?
それに……殺されたらまたこの悪夢を見ることになってしまうのだろうか……。
そう思うだけでもなんだか吐き気がしてきた。
……気持ち悪い。
ほんとに人が殺されている現場を思い出すだけでこんな不快な気持ちになるなんて。もう私の頭が嫌だって騒いでるのかもしれない。
それだったら……自分の頭に負荷をかけないためにも安全で危険のない作戦を企てて殺されずに幸せに暮らせるようにならないといけない……。
そう考えてみるとちょっと気がとおくなる……。
本を読む前までのワクワク感はどこに……。
とりあえず……今日は自分のためにも寝ないと体がもたないような気がする。
調べるのはまた明日で……。
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