作戦なんて無駄
第13話 秘密
こうしてカガミ様はどこかに戻り、わたしはベット人倒れた。
なんか無性に眠たくなって今すぐ倒れたい気分だったのだ。
「はぁ……」
頭が重いのは色々考えたからだろう。一日くらいゆっくりしたいのに。
一人になるとなんか寂しくなってマイナスなことばかり考えてしまうのは私の悪い癖だ。でもカガミ様なんかと仲良くなっちゃだめ。
……明日人が死ぬなんて……嘘に、決まってるから。
あんなカガミ様みたいなやばい人いるわけない。……全部、幻覚だったんだ……。
私は自分の心に言い聞かせた。前に藍さんとお母さんが殺された時のようにつらい思いはしたくなくて。現実逃避。これが一番心に負担がかからないものだと思った。今日は珍しくマイナスな思考じゃない私が少しうれしくも感じる。
月明りもはいらない部屋の中にいるのはなんだか落ち着かなくて、窓も開けている意味はないと、私は渋々立ち上がり窓を閉めると同時に空を見上げた。
空は信じられないほど真っ黒に染まっていて不気味な雰囲気が伝わってくるのを感じた。
夜だから空が黒いのは当たり前かもしれないけどなんか不気味な感じが漂っていたんだ。……こういうこと考えるからそう見えるんだろうけど。
……ボジティブ思考……。
情緒不安定なのかもしれない、私。
そしてベットに戻って布団をかぶる。
明るいこと考えよう……。
そうこう考えてるうちに、私は睡魔に襲われそのまま眠った。
「麻実ちゃん、朝食できたからきなさいなぁ」
「……はぁい」
いつの間に寝たっけ私。ねむ……。
そして朝食が終わって私たちはお母さんとお父さんでリビングのテーブルを囲み会話を進めた。
「お母さん」と私がいつものように声をかけるもお母さんはなんだか元気が何ようだった。
「どうしたの?」
私は元気のないお母さんに声をかけるとお母さんは弱弱しい笑顔を向けこういった。
「……なんだか調子が悪いのよ」
確かにこうしてみると顔が少し青くなっているようにみえなくもない。
「……部屋に戻ったら?」
私がそういうとお母さんは黙って立ち上がりふらふらとおぼつかない足取りで部屋へと戻っていった。
なんだか心配だ。
お母さんが部屋に戻った後私はお父さんに話しかけた。
「ねぇ、お母さんどうしたんだろ」
「……そうだな。すごく顔色が悪いように見えたが……」
お父さんは顎に手を当てて悩んでいるようだった。
「昨日普通に元気だったけどね」
「……そうだなぁ……」
そして私はふとあることを思い出す。
カガミ様の言っていた、もうすぐ人が殺される。
もしかしてお母さんは……!……あ、でもお母さんは体調が悪そうだった…なら病気? それだとしたらカガミ様が操った人ではない…。やったのはカガミ様ってことだ。
……なんでそんなことを……?
カガミ様はだいたい操っている人に殺させていた。だったらただの偶然……そう思うが、最近偶然が多すぎるのだ。
このお屋敷に来てから偶然に偶然が重なり余計に意味が分からなくなってきている。
私はうなりながら考えていたためか、お父さんは心配そうに私の顔を覗き込んでこういった。
「……どうしたんだ? もしかして麻実も体調が悪いのか?」
「え、あっいや全然、元気だよ……!」
そのお父さんの言葉に私ははっと我に返り慌てて苦笑いをかえしながら返事をした。
するとお父さんは「そうか……」と納得しないような顔を見せた。こんなに苦笑いを返したのだから当たり前だろう。
「……ごめん。私も部屋に戻るね」
私が立ち上がりそういった。
「あぁ。じゃあ俺も戻ろう」
とお父さんはそう言うと私に続き立ち上がる。
部屋に戻ると私はいつも通りとりあえずベットに座りぼんやりとドアを眺めていた。
……最近おかしなことが続きすぎて頭がまともに回らない。
なんで火神家にカガミ様なんかいるんだろう。カガミ様さえいなければこんなおかしなことも起こらなかった……はずなのに。
……今日はいつもみたいにはいってくるはずの藍さんも今日はいなくて、なんだか一人取り残されたような感覚に襲われた。
私やっぱり一人じゃなくてみんなとわいわいする方が好きなのだろうか。だとしたらカガミ様にさえ会いたいと思っているのかもしれない。
ふと、窓の外をのぞくと大粒の雨が降っているのがわかった。
深い森の中だからなのかここがいいお屋敷だからなのか、まったく雨の音は聞こえない。これなら雨に気づかなかったのも納得する。
でも雨がふっている森というのはすごく怖い雰囲気がある。何か恐ろしいオーラが見えてきそうだ。
こんな大雨が不吉な予感を知らせるものではなく、ただの偶然出会ってほしいの願うのは無謀だろうか。
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