表彰

バブみ道日丿宮組

お題:ひねくれた挫折 制限時間:15分

表彰

 表彰されるのって、

「……めんどくさい」

「いいじゃない。私なんて話題にすらされなかったよ」

 コッペパンをもぐもぐしながら、ふてくする。

「学校ってだけでもめんどくさいのに、どうして外の学校に挨拶しにいかないといけないのか」

 たまたま美術で描いた絵が評価され、それが他校との交流に発展することになった。絵なんだから、勝手に見にきて、勝手に満足してほしいものよね。なんで本体(わたし)がいかないといけないのだろう。みたいなら、むしろ向こうからくるべきではないだろうか。

「校長と行くんだっけ?」

「そう。あのはげたおっさんと二人で隣街の学校まで週末ドライブ」

 ため息がもれる。

 ただでさえ、普段ボディタッチが多い校長だ。二人っきりになったら何をされるのかわからない。スタンガンでも用意しておくべきか。ホテルに連れ込まれる前に警察へ連絡できるようにスマホを設定しておくべきか。

 なんにしても嫌だ。あのおっさんと二人っきりなんて、ありえない。

 そういうのはお父さんで間に合ってる。今でもお風呂に入ってるのはここだけの話。

「イヤラシイ視線、私も浴びたことあるよ」

「……あんたのは優秀な胸があるからでしょ。校長じゃなくたって、見られてるじゃない」

 体育のブルマ姿、スクール水着。文化祭のウェイトレス。

 同じ格好をしてるわたしよりも多くの視線を集めてた。ボン・キュッ・ボンはそれだけ偉大なのだ。わたしみたいなすとーんとした体型は評価されない。

 雨に濡れて、下着ラインが見えたとしても、誰からも視線を浴びない。むしろ、女の子だったのかと驚かれる方が多い。

「可愛いと思うんだけどね。うん、可愛いかわいい」

 思いっきり撫でられた。噛み付いたろか?

「もっと素直になれば、きっと素敵な彼氏さんができると思うんだけどなぁ」

「わたしはあんたが側にいてくれればいいよ」

 ぱぁと表情が明るくされた。

「うんうん、私も大好きだよ」

「そうだよね、うん」

 彼女を渡すくらいなら、わたしを差し出すぐらいに溺愛してた。

「わたしもついてこっか?」

「できるの?」

 どうだろうと彼女は頭をかしげた。

「そもそも美術の先生と行くべきものだからね」

「そうだよね」

 美術の先生は女性だ。校長なんかと行くより、だいぶマシだ。

「考えてみるね」

「お願い」

 そうして二人の時間を過ごした。周りの男子から嫌味を浴びながらね。

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表彰 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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