妹を愛さなきゃいけないことになった。シスコンじゃないのに
ティーノ
妹を愛さなきゃいけないとかどうなってんだ
朝目が覚めたら横におっぱいのでかい美女がいた。
「……なわけあるか」
そんな非現実的なことを考えてしまうのだが、想像は想像。現実は現実なのだ。
例えば、空から美少女が降ってくるとか、ハーレムになるとか、非現実的だとわかっていてもやっぱり想像してしまう。そんなことが起きればいいなって。
現実というのは悲しい。
理想の世界……か。
「お兄ちゃん!起きて!」
朝からうるさいのが来てしまった。
「……」
俺は無言で布団を被る。
「ねぇー、起きてよ!」
「……うるさいな、なんだよ」
結局うるさいのはどうにもならず、渋々布団から頭を出した。
「今日からお兄ちゃんは、私を愛してもらいます!」
「……………は?」
何を言い出すのかと思えば、いきなりそんなわけのわからないことを言い出した。
「なに?俺の聞き間違えじゃなければ、俺はお前を好きになるってことか?」
「ちーがーう!好きじゃなくて愛してほしいの!」
……だからお前は何言ってんだ。
「……まず落ち着こう。な?」
俺は体を起こし、妹の額に手を当てる。
「……熱はないみたいだな」
熱があってこんなバカなことを言っているかと思えば違うようだ。
「お前を愛す?何バカなこと言ってんだ」
俺はベッドから出ると、カーテンを開けながらそうつぶやく。
「なんで俺がお前を愛さなきゃいけない?」
そう。肝心なのは、どうして俺が妹を愛さなきゃならないのかってこと。
「あのね、私、クラスの友達に言っちゃったんだ」
「私お兄ちゃんから愛されすぎて困っててさー。ほんとに、家に帰ればいっつも私にベタベタしてきててさー」などと、クラスの友達に言ったそうだ。
「……お前ってバカ?」
「ば、バカじゃないし!」
どうしてそんな、非現実的なことを言ったのだろうか。と聞いてみると、
「だ、だって、私の友達って全員兄がいて、兄から好かれてるって聞いて……」
それで愛されてない私は、なんだか仲間はずれな感じがして……と、しょぼくれたというに言う。
「はぁ、そうかい」
俺はそう一言言って部屋を出ようとした。
「ま、待ってよお兄ちゃん!」
そういいながら俺の腕にしがみつく妹。
「……あのな、そう簡単に人が言うことにうらやましがるんじゃない。それと、お前のおっぱい当たってるぞ」
「えっ?……ちょっ!」
俺はそう言うと、妹はとっさに自分の胸を手で隠した。
「なんだかなぁ……なんでそんなこと言ったのかが分からん」
今一度ベッドに腰かけ頭を抱える。
「……まあ、なんだ。つまり、俺がお前を愛せば、仲間外れにならないと?」
「う、うん、そういうこと……」
いまいち意味が分からない。
というか、その友達はほんとに兄から愛されているのだろうか。
「私、学校に行くといつも言われるの。お兄ちゃんにチヤホヤされてる?とかって」
あー……それはなんかうざったい。
たしかに、そこで「チヤホヤされてない」なんて言ったら、「えー!私なんか毎日チヤホヤされてるんだけなあ」などといった言葉が返ってくるだろう。
考えただけでうざい。
「はいはい……分かりましたよ。お前を愛せばいいんだろ?」
やっぱりまだ理解ができないが、考えても理解できないので、もうやってやろうと思った。
「ほ、ほんとに?」
と、目をキラキラさせながら俺を見てくる。
「まあ、うん。とは言ってもどうしろってんだ……」
妹をチヤホヤするとか、妹にデレデレするとか……考えただけで気持ち悪い。
というかそんなことをするのはシスコンだろう。
「お、お兄ちゃんが私のことを……!あ、あんなことやこんなことまでしたりして……?」
なにか一人でぶつぶつと言いながら俺をチラッと見る。
「何言ってるのかは分からないが……エッチなことはしないからな?近親相愛なんかしちゃダメっていうしな」
「な、ななななんで私の心を!?」
「お前を愛してるからだ」
適当にそういったが、改めて考えるとこれって結構気持ち悪いな。
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