ご高説
「アンタらナビは逐一確認しているか? この階層についてのニュースがトピックに表示されているだろう」
無数の管が取り付けられた異様なヘルメットを被った男が言った。俺のナビは先程の戦闘で壊れたようで動く気配がない。
「”王”のことですか」
「そう! それだ。ここ最近はそいつのせいで怪物共が活発化しているんだと、時期は選ぶべきだったな」
三井はむしろその時期だからこそダンジョンへ潜ったのだろう。死人が出た理由も説明がつきやすい。ずる賢い奴だ。
「あんなのただの噂だと私は思うけどね。だって2階層よ? 浅すぎるじゃない、そもそもの調査が足りなすぎるのよ。怪物の生態なんてろくに調べらていないんだから、サンクメディックは国からの援助を受けるために適当並べて報告してるに決まってるわ! 私は子供の頃から怪物のことを調べてるけど、彼らはあんな安っぽいチンケな文章で纏められるほどに軽い存在じゃないの! ロングネイルの生態解説を見た? 何よ、詳しい生態が分からないって! 笑っちゃうわ! もうダンジョンが出来てから200年も「目白、お前のご高説はもう結構だ。彼らも困惑してるだろう」
興奮している小柄な女、目白をヘルメットが落ち着かせにかかった。よく喋る奴だ。
「あ、そういえば名乗るのを忘れていたな。俺は安中、この子煩いのは目白、悪い奴じゃない。後ろから無言でついてきてるのはヤングヤング、滅多に姿を見せない」
「子煩いって何よ!」
「個性豊かですね。それだけ賑やかだったらさぞかし楽しいでしょう」
こんな会話を幾らか交わしながら進んで行くと、特にウォールアイなどに出くわすこともなく次フロアへの扉へとたどり着いた。拍子抜けだが何もないに越したことはないか。
「これでこのフロアはオールクリアだ。向こうで待ってる未亡人たちを迎えに行こう」
「アンタ今未亡人って言った? 冗談でもそんな失礼なこと「行くぞ! こいつに喋らしちゃいけない」
….雇う意味はあったのか?
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