死人
擬似血管がこれほどだとは思いませんでしたね、政府が規制に取り掛かるのもわかります。キイルトースさんの全身から蒸気のようになった血液が排出されているのが見えます、アレが暴走すれば手はつけられないでしょう。
「だ、だいじょうぶ? おにいさん」
「気にするな… 大丈夫だ」
「体が震えてんぞ、一旦休憩するか?」
「良いんだ、このままで、先に.. 進もう」
危うい雰囲気なのは理解できますが、頼る他ないですね。扱い方は難しいとは思いますが。
バ•ディさんの呻き声が薄らと聞こえてきます、生きているとは、わざわざ私が手を下す羽目になる。介錯をして差し上げましょう。
「え? 三井さん、なんで?」
「この階層は死人が余り出ないと言われています。しかし、誰に殺されたのかが重要です。1階層の死人は全て、同業者によるものなのですよ」
「え? ガァッ… ヒュー… ヒュー… 」
同業者は少なければ少ないほど良い、疑う力が無ければ末路はコレです。後は皆さんの元へ戻って辻褄を合わせれば完了… おや?
「パトリシアさん、今のを見ましたか?」
「ひっ、な、えっ、み、みてません」
「ふむ… 本当に分かりやすい子だね、君を殺さなくてはならなくなった」
「え… わたし、なにかわるいこと… 」
「動揺してしまっているな、今死にたいか?」
「な、なんでもいうことききます! だから… ころさないで… 」
「そうだな、よく切れる剣が欲しいんだ。手伝ってくれるかな」
少女は私にひどく怯えている。弓を使うことも忘れて、ここで殺すか? どうせ戦力にもならないでしょう。
「おいテメェ、何やってんだ」
斧が長剣を弾いた。ブランクはあっても流石はベテランということですか、慣れている。
「お嬢ちゃんは俺の後ろに。キイルトース、こいつをどうする?」
「そいつは今回の換金役、脅すだけで十分だ」
「次にお嬢ちゃんに手を出したら、殺すからな」
「了解しました。武器も無くなってしまっては、私も従うほかない」
小刀を革鎧の下に隠しておくのが良いですね、4階層で全員を消す。宝は全て私のものです。
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