入場
「皆さん、準備はいいですか?」
「はい!」
「おう」
「ああ」
広場に4人の声が響く、入り口へ移動する。4人が訪れたダンジョンは初心者が選びやすい場所で、帰還も比較的しやすい。入り口では国が派遣した管理員が手首につける情報端末を配布していた。
「あ、あれがナビちゃん… 」
「ナビちゃん? ああ、ナビゲーション端末のことか」
「確かにこんなところじゃないと見ませんよね」
『探索目的の方々ですね? どうぞ、お好きな形の端末をお取りください、ダンジョン内で紛失した場合、お客様の口座から自動的に金額が引かれることになっておりますので、お気をつけください』
熊、兎、猫、子供が好きそうな形の端末が並ぶ。
「むむ… ねこさんでおねがいします!」
『ご自由にお取りください、他の皆様は?』
「普通のは無いのかい?」
『今、倉庫より取り寄せています。しばらくお待ちください』
待ち時間は10分を過ぎ、4人の熱意は少し萎えてしまった。
「出鼻を挫かれた気分だ。もう少し強化剤を使っておくべきだったか?」
「正気を失われては困ります。どうか抑えてください」
キイルトースが強化剤に手を伸ばそうとしたのを、三井が制した。20分後、ようやく追加の端末は届いた。4人全員が手首に端末を付ける。
「す、すごいの… あたまがパーってなる!」
「脳内に投射するのは危険ですよ、ほら、切っておきます」
端末には簡易の地図、出現する怪物、宝のトレード状況が表示されている。脳内投射で情報を確認することも出来るが、対象の脳にかなりの負担が行く。
「さて、出発にしますか。皆さん、そこのエレベーターに乗ってください」
「相変わらず変な入り口だよなぁ、もうちょっとこう… 」
「こ、これがエレベーター… 魔法みたい!」
ダンジョン直通エレベーターの中で、4人は最後の調整を始めた。擬似血管の可動確認、斧の予備刃の手入れ、マップ確認、矢の本数数え。
チーン、とエレベーターが停止した。
石レンガで作られた巨大な迷宮が冒険者を出迎える。先陣を切った者たちの喧騒、いくつかの死体、始まりの迷宮[石棚] 生存率65%
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます