再会 3
名乗られてみれば、
「ど、どうしてこんなところに……」
懐かしさと驚きが入り混じって、啼義はやっと、それだけ言った。朝矢は「嬉しいなぁ」と手を広げて喜びを全身で表し、ふふん、と得意顔になった。
「
「無事?」
会えたことを驚いているより、安否の心配をされるような何かがあっただろうかと、啼義の心に疑問が沸いた。自分の身に降りかかったことは、彼は一切知らないはずだ。そこで朝矢もふと、「あれ?」と怪訝な顔になった。
「俺──羅沙の
「え?」
啼義は一瞬、言葉が飲み込めずに目を瞬いた。
──焼け落ちた?
その時、
「啼義」
彼に近づいたイルギネスは、様子の変化に気づいた。朝矢も、啼義の表情を見て、眉根を寄せる。
「……知らなかったのか?」
朝矢が、恐る恐る聞いた。啼義は首を振り、俯く。
<焼け落ちた──羅沙の社が?>
全く心の準備のないまま突きつけられた言葉が、頭の中を駆け巡る。急に身体が冷えてふらついた彼を、イルギネスが支えた。
「どうした?」
その肩が微かに震えている。イルギネスは朝矢の方に顔を向けた。
「俺は、こいつの連れだ。何があった?」
「……羅沙の社が、焼け……落ちたって……」答えたのは、啼義だった。
「なんだって?」
イルギネスは、啼義の受けた衝撃を瞬時に理解した。
「それは、本当なのか?」
朝矢は頷く。啼義の様子に、彼も動揺している。
「俺は……昨日ここに着いたんだけど。俺が羅沙の社にいたのを知ってる仲間が、情報を持ってきたんだ。だから俺、啼義のことも心配してて……そしたら、ここに……でもほら、噂だけかも知れないし」
やや早口にそこまで言ったが、続く言葉は見つからなかった。
啼義は自分で立とうと、なんとか気を保ってイルギネスの手そっと外した。
「──大丈夫」そうは言ったものの、声はか細く、その顔からは血の気がひいている。
「ちょっと、どこか座ろう」イルギネスが言った。
通りの向こうの樹木の下、ちょうど影になっている場所に、三人は腰を下ろした。そうしてやっと、啼義の耳に周りの人々の行き交う喧騒や、波の音が再び届き始めた。
<どうして──>
焼け落ちた、の意味をいやに冷静に受け止める一方で、
「朝矢、俺……」
「ごめん」
遮るように謝った幼馴染に、啼義は力なく微笑んだ。そして、思わず呟いた。
「──俺のせいだ」
「え?」
「……靂が俺を、逃したりなんかしたからだ」
唇が震えた。哀しみなのか怒りなのかわからない衝動が込み上げ、啼義は顔を覆った。だが──そこで必死に堪えた。そうしないと、身体の芯から崩れ落ちてしまいそうだった。
「靂様が、お前を逃がした?」
朝矢が訝しげな眼差しを向ける。では、啼義は一人なのか?
すると啼義は、拳で顔を覆ったまま、小さく頷いた。
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