「アオイを助けたい」

　牛乳パックのストローから口を離して、有夢は言った。

「このままだと、アオイが死んでしまう」

　彼女は、そこまで深い意味を持って発した言葉ではなかっただろう。

でも、アオイにはその言葉がやけに堪えてしまった。

　きっと、先程の先制パンチが効いているのだろう。

　彼女は、ふうっと溜め息をついた。

　あっと言いかけた有夢を制する。

「今のは『ためい気』じゃないでしょ？」

「うん、違う」

「・・・いいわ、話してあげる」

　そう言って、アオイはゆっくりとブラウスの袖先を捲りあげた。

　有夢の瞳が、スッと狭まる。

「酷いもんでしょ」

　袖を戻しながら、他人事のように言った。

「無意識で切ったのが４回、自分の意思では・・・忘れた」

　自らの痛みを堪える様な表情で、有夢が問いかける。

「何故？」

「辛い話よ」

　アオイは、かすかに微笑んだ。

「そう、溜め息で逃がしたくなる程ね・・・」

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