魔力無し吸血鬼の復讐譚
志麻 岬
第1話 瀬沼ヨウスケ
・・・
俺が何をしたって言うんだ
「ハァ……ハァ……────────ッッ!!」
頭が……熱い、なん…
「、、ア、─ッッハァ…ハァ…ぁ」
手で頭をさすると、その手は一瞬で赤黒く染る
あー、これ俺の血かぁ、、
───俺はその記憶を最後に意識が無くなった
・・・
瀬沼ヨウスケ。今年で30歳を迎える男性社会人である。
容姿が余程言い訳でもなく、仕事もすごくてきぱきこなすタイプでもない。満遍なく普通にこなしている。
あと人付き合いが少し苦手である。ので、人相を良さそうな感じにしてたらいつの間にか頼られる存在に……なった。なったはいいが、
頼られすぎて「あ、これ頼む!」「君ィ、これも頼むね★」と上司の頼み事は断れない感じである。残業過多……(泣)
そんな俺は特段当たり障りがない(?)生活を続けてはや10年、いつの間にか30歳になっていた。
学生時代もそんな感じだったので今更戻りたくないとは感じているが、戻れるのであればこんな会社よりもっと自分の将来性にかけられる歳に戻りたいと思うため、「お前はどっちなんだ?この阿呆がッッ!!」とネガネガしてしまう。
話外れたが、残業過多になった俺は、そんな会社の仕事に嫌気をさしながらも、今日も出勤。
着いた矢先に、会社の入口から出た上司が「あー君、年末は泊まり込みで連勤してもらうから」などと言われてしまう。
は?キレそうなんだが( '-' )
……ウウンッ!!まぁそんなことは置いといて、年末1人で会社泊まりは嫌だ。誰か一緒がいいなぁ。などと思い勤務表を見たが──────
「おい、1人じゃねぇか、おい」
ボキャブラリーが乏しくなるほどに衝撃すぎる。うん、1人だね俺。
年末くらい休ませてくれよ…
しばらくして年末が来た。
12月31日。時刻は夜の7時を廻る。
今日はみんな休みなので、誰も来ない。俺はポツねんと、自分のデスクとにらめっこand残置された資料を見ていた。
「いや、なんでやねん…」
クリぼっちは許そう。年末ぼっちは虚しいねん。実家で家族と年越しさせてくれよ。
いや親Loveじゃない俺は別にいいんだけどね?ツンデレじゃねぇよ!!やめろ!!
「スゥー……とりあえずこの資料片付けるかぁ」
夜の11時。そろそろルーム内の電気消さないと電気代がなんじゃらほいで上司ガミガミのコールがかかるため消灯。
暗闇の仕事ルームの中、俺のデスクにある1台のパソコンだけが怪しく光る。
「もう今年も終わりかぁ……」
今年が終わればまた1年歳をとる。
また次の年が終われば1年歳をとる。
働くのは生きるため。
歳をとるのは人間だから。
当たり前だけどそんな人生をあゆむ俺は──────
「なんか、……つまんねぇな…」
そう思ってしまう。
夜だからか、なんかクサイことを考えてしまったが心から思ってしまう。
作業撤収!!andコンビニダーッシュ!!
弁当、酒を買った俺は会社に戻ると、自分のデスクのものを片付け、パソコンモニターを取り外し自前の小型テレビをセッティングする。
「やっべ、あと10分で年末じゃん…」
テレビ設置がまだ終わってないため「ハッピーニューイヤー!!」な感じを味わえない。
配線早く付けねぇと…
よし、あと3分。まだ余裕がある。
「弁当よーし!酒よーし!ついでにテレビもよーし!HAHAw!!ふざけんなクソ上司!!年末?仕事?終わらせたわァ!!てめぇらの仕事なんぞこの俺にかかれば御茶の子さいさいなんだよォ!!」
…などと豪語したあと、ほんとにこの会社やめて困らせてやろうか?などと考えが過るが、そんなことしても職を失うだけでやりたいこともないので却下する。
「……フゥ、しかしなんだ、今年もなんも変わらねぇ1年だったなぁ」
遠い目をする。カウントは10秒。
「来年も、(よっこら)…どうぞ、よろしくおねしゃす」
席に深く座り、片手に酒を持ち空を見る。
会社の天井。あー、つまんねぇつくり。
せめて来年は楽しいものに───────
・・・
「ぁ、……ェ?」
痛い、すごく痛い。主に頭。
何が起きたのか分からない。
認識するまで激痛で口が動かせない。叫べない。
徐々に部屋の空気感で、自分の頭が凹んでいることを知る。
「……ぁ」
目線をあげる。デスクの前に誰かいる。
「だ……ぇ…ぁ」
誰だ、そんな問いは届かず、目の前の世界が赤く染る中、俺は
死んだ
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