質屋
俺たちは町に繰り出すことになった。
なんでも治すことの出来る魔法の在り処を知る事がメインだが、以前手に入れた金貨と宝石を換金して、探検に必要な物を買うことにした。
私服に着替え、街に向かう。
俺はギルドから支給されたあまり派手じゃない白色の質素な服に赤いセーターを私服として着ていたが、アルトはそこそこ大きな商人の息子だからか、白い服に青いシルクのマントを羽織っていた。
そして広間に行くと、透き通るような空色の大きなストローハットを被り、帽子と同じ色のワンピースを着たニアが待っていた。
アルトの鼻の下が伸びた気がしたが、俺もそうなっていたかもしれないから馬鹿には出来なかった。
ゴリアテは何故か探検の時と同じ格好をして、ヴィルは長い黒いコートを羽織っていた。
これではさすがに2人とも怖いので、ゴリアテとヴィルは寮に残した。
ついでにカミナも寮に残ったが、単純にめんどくさいかららしい、マイペースすぎる。
ヴィルが町に行きたいとごねたが、町の駐在兵に見た目で難癖をつけられては面倒なので、おばさんに頼んで食堂の手伝いをさせた。
町に行くと色んな人がいた。
家族で通りを歩く人、道具屋、薬屋、武器屋で商品を値切る人、観光客として迷宮の1層2層を見に行く人。
迷宮に来るために町に来たことはあるが、物を買ったりすることは生徒の時は禁止されてたので今回が初だった。
まずは迷宮の近くの通りに向かう、その近くには質屋があって、大抵の探検者はこの質屋で手に入れた物を換金している。
「いらっしゃい、あれ?こないだ本登録された探検者さんかい?ずっと応援してたぞ。」
質屋の店主は初対面だったがなかなかの好印象だった、だからこそ、ここで長く質屋を出来ているんだろう。
「すいません、この宝石と、金貨、買い取っていただけますか?」ニアが言う。
「お、お嬢さん2人は彼氏さんかい?お嬢さんはなかなかやり手だね…このじいさんも可愛いお嬢さんにはおまけしてあげなきゃならないな…」
「もう!からかわないでください!」
ニアは少し顔を赤らめながら言う。
「へへ、悪いね、新しい探検者さんが来るとどうにも遊びたくなっちまうんだ。」
と言って値段を数え始めた。
「宝石は…規定の大きさで測ると…中だな、それが3点で1800ゴールド、古代の金貨が5枚で2000ゴールド、普通なら計3800ゴールドだが…1200ゴールドおまけして5000ゴールドだな!」
5000ゴールド…昔父親とここに来るまで旅をしていた記憶を蘇らせる。
たしか5ゴールドで薬草が1個だったから…そこそこの大金になった…のか…?
隣にいるニアを見ると思ったより驚いていた。
「いいんですか!?そんなに!?」
ニアが驚きの声を上げる。
そんなに多いのか…この5000ゴールドという数字は…
と思ったが、アルトを見ると5000か…と言ったような落ち着きを見せていた。
そりゃそうか、こいつの家は金持ちだった。
2人の反応の差が面白くて俺は少し笑ってしまった。
「いいさ、もっと凄いのを、沢山持ってくる奴もいるんだ、これくらいなんてことは無いさ。」
「じゃあありがたくもらいますよ。」
とアルトが言い、俺とニアとアルトの3人で分けた。
ゴリアテとヴィルとカミナの分は後で渡すらしい。
さて、情報収集と買い物を始めよう
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