東門市場(幡宮市の歴史)

 戦後、アメリカ政府主導の下、日本支配を潤滑に進めるために旧日本軍出身者を排除した「南海道政府」が作られた。そして、現在の北原直轄市と伊波県伊波市(旧称鸞台らんだい。南海道最大の鸞台らんだい港がある)の二つに米軍基地が置かれた。

 しかし本土決戦で焼け野原になった南海道の復興はすぐには進まず、加えてむやみな米ドルの導入で経済は混乱した。そして無能な南海道政府に反発したものたちは次々と投獄・処刑され、その後数十年に渡り「南海道の冬」と呼ばれる暗黒の時代を迎えた。


 戦後間もない奈津崎県では、現在の県庁所在地である幡宮市に闇市が形成され、本島(平洲)からの密輸品やアメリカ軍基地からの盗品が売られていた。当時職にあぶれた貧しいものたちが基地から調達した武器で武装化し、幡宮市を拠点に「幡宮派」と呼ばれる暴力団を形成した。のちにいくつもの派閥に分裂した幡宮派のうちの一つ、「東門会」がシノギとして飲食店街(当初は風俗店街でもあった)を始め、現在に至る。

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