もうひとつの「国語元年」

顕巨鏡

『万葉集』 編集委員がふりかえって思うこと

 『万葉集』 全15巻が完成した。編集委員長の大伴家持さんのところで、祝賀会があり、つづいてなかまうちの反省会があった。

 わたしは、家持さんよりも早くから、この仕事にかかわってきた。編集委員としては、東歌あずまうたの編集を担当した。そのまえに、日本語を漢字であらわすやりかたの手本をつくる仕事もした。わたしの本業は行政官だった。ただし、規定どおりのことをするのではなく、新しい試みをする役だった。わたしは国の基礎をしっかりさせるための仕事をして、その過程で、万葉集にも貢献したのだ。

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