私の心を癒すのはあなたの胸の中だけ

水天使かくと

第1話 通じあえた想い

私とあいつは入社当初からの同期社員だ。

もともと仕事面でもいいライバルだし、戦友みたいなもの…。


私はあいつに負けたくない一心でいつも一生懸命にがんばってきた…。


周りにも弱音なんか吐かなかったし同情されるのなんかもっと嫌だった…。

もちろんあいつにも…。


それが…それが…。


それは私が新人の指導を任される教育係になってはいたのだが…この新人がまたケアレスミスが多く…その確認や修正にここ毎日追われていた…。


ある日…その日もいつものように確認と修正で躍起になっていた私は同期のあいつと飲みにいく約束をしていたことをすっかり忘れてしまっていた…。


それであいつにその経緯を知られる羽目になってしまったのだ。

1番知られたくなかったあいつに…。


で…今夜あいつに業務を手伝ってもらいなんとか終えることができた…。

もちろん残業にはなってしまったのだけれど…。


好きになる人が実はこんなに近くにいたなんて…やっと気づかされた日だった…。


そんなこんながあって…私は今…彼の胸の中にいる…。


お互いの気持ちをしっかりと確かめ合いながら…。



「なぁ…今夜お前んち泊まっても…いい?」


「えっ!えっと…」


「俺…さっきは逆に誘われたんだけど?お前に…。まぁ…その時はとがめちまったけどな…。」


そうだった…。


私が彼の胸でおもいっきり泣かせてもらって…彼のYシャツを涙と化粧で汚しちゃったから…私の家が近くだから洗濯を…と家に誘って…。


こんな夜に男を簡単に家に入れるなと怒られたんだった…。


「うん…。」


私はYシャツも気になってたのもあるけど…なによりこいつに…いや彼に…今は純粋にそばにいてほしいと心から願っていた…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る