父が逝った日

その日のことを

よく覚えていない


遠い所にいた父が亡くなったと

知らせが届いて


それから

父が空へ還るまでの間のことを

よく覚えていない


ただ

どんな顔をしていればいいのかと

そんなことばかりを考えていた




父が逝った日

それは

私と母が、彼から解放された日だった




あの時

私は何を思えば良かったのか


あの時

少しも、

砂粒ほどの悲しみも持てなかった私は

人でなしだったのか



父が逝った歳を越えて生きても

まだ

あの時

私は何を思えば良かったのか

わからないままでいる


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