【超能力先輩と万能薬】

万、麻美→3年生

ちよ→2年生


風邪をひきやすい時期の話です。

万の受験も終わってます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ち「風邪をひきました……」

万「辛そうだね……」

麻「私が呼び出された理由はそれですか。医者代わりに呼ばれても困るんですけど」


万「薬さんは医療にも詳しいでしょ? 薬剤師だし」

麻「私の薬学は趣味の一環です。メインは化学の方ですから!!」

ち「なんかよく効く風邪薬とかないですか」


麻「なんで超能力者じゃなくて、私を頼るんですか……」

万「俺の超能力だと風邪菌だけじゃなくてちよごと消し飛ばしちゃいそうだから」

麻「シレっと恐ろしいこと言わないでもらえます!?」


麻「そういうことなら、持ち歩きの風邪薬がありますよ」

ち「貰ってもいいですか?」


麻「はいどうぞ。そもそも風邪をひいてるなら学校をお休みすればよかったのに」

ち「休んでましたよ。でも、麻美先輩の薬なら治せるんじゃないかと思って」

万「医者に行った方がいいって言ったんだけどね……」


麻「頼りにしてもらえるのはありがたいですけど、あくまで風邪の症状を抑えるだけで完治はできませんからね?」

麻「市販の風邪薬と大差ないですよ」

ち「え? どうせなら一瞬で治る薬とかないんですか?」


麻「あるわけないじゃないですか!! そんな万能薬みたいなもの」

ち「麻美先輩なら万能薬ぐらい作れるんじゃないですか?」

麻「この世に万能薬なんてないんですよ」


万「仮にも万能の超能力者の前でそれを言う?」

麻「…………」

麻「超能力者以外は万能薬なんて作れません」

ち「先輩がいじめるから、わざわざ言い直しましたよ!?」


万「え、俺のせいなの!?」

麻「ちよさんの風邪に悪影響ですから大きい声を出さないでください」

万「あ、それはごめんなさい……」


麻「そもそも、ちよさんが想像してる万能薬ってどういうものですか?」

ち「え、分かんないですけど、どんな病気でも直せるみたいな」


麻「そもそも薬で治せる病気は(ほぼ)無いんですよ。治りやすいように補助することはできますけどね。結局は本人の体調次第になるんです」


麻「医者や薬剤師がどんな病気でも直せるなら、葵さんの超能力は超能力じゃなくなってますよ」

麻「むしろ、どんな病も治せる医者がいるなら、その人が超能力者ですよ」

ち「じゃあ先輩は使えないんですか?」


万「……使える、かな」

万「ただ、どんな病もっていう定義が曖昧で、逆に悪影響が出るかもしれないから使わないけど」

ち「なんですか、恋の病も治すとかそういうことですか」


麻「……シレっとメルヘンなことを言いますね」

麻「善玉菌や良性腫瘍の類も消し去る恐れがあるって話ですか?」

万「……よくわかんないけど、たぶんそう!!」


麻「なるほど。お兄さまが、小菊君を殺そうとしたときに『万能であっても完全ではないから殺す隙があるハズ』と言ってたのは、そういう意味でなんですね」

万「そんな物騒なこと言ってたんだ」

ち「本当に、なんで今は仲良く出来てるんでしょうね」

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