第29話「凛風」500文字【静かな鎮守の杜、リップスティック、殴る】
静かな鎮守の杜で、
地面に倒された僕は諦める。神様に願っても、結局丸裸にされるのだ。
「
Bが尻を蹴り、Cが腹を殴る。
「毎日の諭吉は大変かな。でも明日はヨロシク」
奪った小銭を
僕は精いっぱい声を張り上げた。
「もう、やめてください!」
ざざっ。
枝が揺れ、何かがAの頭に直撃した。
「痛でっ」
折れたリップスティックが転がり、傍らに白装束の女が下り立った。
「えぇぃ、騒々しくて気が散るわ! 化粧もできん」
唇に引いた紅がいびつな弧を描いている。吊り上がった目、逆立つ髪、背中に羽、着物の裾からは獣の脚。
「バ、化けモノ。あ
きびすを返したAが小銭を放り出す。腫れ上がる手を押さえ、悲鳴をあげて逃げ帰り、BとCも後に続いた。
「
震えながらも身支度を終えると、
「お
女は豪快に笑い、突風に乗って
僕は拝殿に小銭と赤い実を供え、手を合わせた。
翌日から、奴らは近づかなくなった。
覇気のないAの手の甲には、目玉のような赤い痣が残った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます