残照

違いがわからない

きっとわたしは馬鹿なのだ

子どもの頃からいい歳の大人になってずっと考えてもわからない

幸せな状態と幸せではないと思っている状態は、どこが違うのだろう

自分が愛しているのと愛されているのは、なにも変わらないような気がする

まっすぐ歩いていくことと寄り道をして進むことは、意味が違うのだろうか

持っていることと持っていないことは、大きく違うだろうか

自分を見つめることと他人を見ることは、同じものを見ているのではないだろうか

笑っていることと泣いていることは、似ていないだろうか

温かいことと冷たいことは、そんなに違うのだろうか

誰かといることとひとりでいることは、変わらないような気がする

地面を見つめることと空を見上げることは、同じことではないだろうか

満たされている状態と失ってしまった状態は、一緒なのではないだろうか

生きることと死んでいることは、なにが違うのだろう

わかった気になってみてもわかっていないことに気付く

考えても考えても考えても、違いがわからない

わたしにはそれが同じものなのか違うものなのか、ずっとわからない

その答えを得ることに、なにか違いがあるのかさえもわからない