雨が上がった傘の下で



夢葵「うへぇ、狭いね」



弓槻「ああ、まさか風であたしの傘が壊れるとは思わなかったからな」



夢葵「そうだねぇ。ってか、普通お客さんに晩ごはん買いに行かせるかな、あのくそ侑希様は」



弓槻「まぁ、あれだけわがまま言ってりゃ次はあたしたちの番だろうよ」



夢葵「ま、いっか。おかけで弓槻ちゃんと相合傘できたんだし」



弓槻「それくらい傘が壊れてなくてもしてやるよ」



夢葵「あたしのお姉ちゃんイケメンすぎでしょ……」



弓槻「おい夢葵、スーパーってどこだよ。あたしこの辺りなんて全然わからねぇぞ」



夢葵「あたしも別に詳しいわけではないんだけど」



弓槻「もうスーパーじゃなくてもいいか」



夢葵「じゃあどこに行くの?」



弓槻「そこのコンビニだよ。インスタントラーメンでいいだろ」



夢葵「あたしはいいけど、くそお兄様に何か言われない?」



弓槻「言われたらあいつの分もあたしが食うよ」



夢葵「かっこよすぎるよ」



弓槻「うーん。何にするか……」



夢葵「あ、あたしこの新発売の野菜ラーメンにしよ」



弓槻「へぇ、こんなのもあるのか。うーん。あたしは普通にカレー味にするか」



夢葵「じゃあ、ゆきさんにはわかめたっぷりのラーメンと……、そうだ! スイーツ買ってあげよ」



弓槻「侑希はスタンダードな醤油でいいか。……? お前、スイーツ買いに行かないのか?」



夢葵「弓槻ちゃんがいっしょに来てくれないと買えないよ」



弓槻「?」



夢葵「だってほら、あたしだけが動いたら傘から出ちゃうじゃん」



弓槻「?」



夢葵「だから……、あれ?」



弓槻「なんで傘さしてるんだろうなあたしたち……。コンビニの中なのに」


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